第11話 学園
side:エリカ
昨日の夕食で我が家の皆に食べて貰った『ブルーベリージャム』は好評で
お母様からもクレープと一緒にお茶会で出して頂く約束を取り付けました。
ただ残念な事に、我が家の財政状況では1年に数えるほどしかお茶会を開けませんから
それならば、懇意にしている伯爵家に作り方を教えて謝礼を貰うよう提案をしました。
この謝礼で砂糖を買えば、もっと色々なお菓子を作れるのです!
砂糖を使わなくても美味しいお菓子はまだまだありますから、何回かこの方法で資金を作り
お菓子の製造販売をする商会を立ち上げる計画です。
まだ謝礼が貰えると決まった訳ではありませんし、貰えるとしても少し先の話ですから
その間に新しいお菓子を作らないとなぁ
という事を、今朝もいつもの時間に家を出て学園に向かいながら考えているのですが
「フレデリカお姉様、あまり密着されると歩き難いんですけど」
「むぅ!、、私はお姉様ではありませーん」
あぁ~
何故こうなった!
私がフレデリカお姉様の事を『お姉ちゃん』と呼んだからなのでしょうけど
だからといって、もう幼子と呼べない年齢の姉妹が腕を組みながら外を歩くのはちょっとなぁ
「さすがに外で『お姉ちゃん』と呼ぶのはどうかと思います。言葉使いが悪いと貴族として『不適格』とみなされてしまいますし」
「そのような事で不適格となる身分など私は要りません!」
「お姉様はそれで良いのかもしれませんけれど、我が家で働いている者達が路頭に迷っても良いんですか?」
「むぅ、、、家ではこれからも『お姉ちゃん』と呼んでくれるのですよね?」
「勿論です♪だから外では我慢して下さい。それよりも、話をしている最中に初等部の建物に入ってしまいましたけど、どこまで一緒に来るつもりなのですか?」
「それは勿論エリカのクラスの教室までです♪
エリカが学園で上手く行って無いのは知っていましたので、どうにかするべくお姉ちゃん考えました
そこで思い付いた1番平和的な解決を実行する為に、お姉ちゃんはエリカと一緒に教室まで向かっているのです。」
「それは本当に平和的な解決方法なのですか?」
「勿論です♪お父様のようにトンチンカンな事をしてエリカに嫌われたくありません!」
「私はお父様を嫌ってはいないのですが、、、」
私は今とても不安です。
フレデリカお姉様は馬鹿ではありませんし、その場の空気を読む事も出来る良識ある人だと信じておりますが
私の事を苛めていたクラスメイトに対して、自制心というものがきちんと働くでしょうか?
苛めという卑劣な行為をした者は断罪されて然るべし、と私は考えているので苛めをしていた者達がどうなろうと構いませんけど
フレデリカお姉様には他人を傷付けるような事はして欲しくありません、表情を見ている限り大丈夫だと思うのですが、、、
つづく。
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