第9話 母は娘を抱きしめる

side:エリカ





クレープの試食は好評のうちに終わったけれど、ジャムに感動した料理人さん達が残っていたブルーベリーとアセロラを全部ジャムにするらしい


これで朝食にフレッシュジュースが飲めなくなってしまったけど、ジャムはメイドさん達にも食べて欲しいから、まぁ良いか



それよりも、私はこれから夕食でお父様、お母様と会わねばならない


フレデリカお姉様を見ていると心配は無さそうだけど、、、





私は恐る恐る食堂にやって来た


お父様とお母様は既に席に着いていて無表情なのがとても恐い


2~3年記憶を遡っても和やかな食事の記憶が無いから、これが普通なんだろうけど


ただ、フレデリカお姉様と配膳係りのメイドさん達は、私に謎のエールを送って来ている


私から声をかけるとかハードルが高いよぉ(汗)


とにかく食事をしながら会話のきっかけを探そう!



メイドさん達によって並べられた夕食のメニューは


カボチャのポタージュスープ


ビーフステーキ


赤飯


パン


ブルーベリージャム



和洋折衷というか、ごちゃ混ぜというかなんとも微妙なメニューだけど


私のお祝いに急遽赤飯を出す事になった影響だから仕方無いか




「赤飯と黒いソース?誰か料理長を呼んで来てちょうだい」



あぁ~


赤飯はともかく、ブルーベリージャムってそのままだと黒く見えるから知らないとけっこう衝撃的かも



「お母様、その2つは私が説明致します。赤飯はエリカが私の事をお姉ちゃんと呼んでくれたので『お姉ちゃん記念日』のお祝いとして


黒いソースはブルーベリーなんですけど、エリカが料理長に作らせたジャムと言う物ですね。甘くてとっても美味しいんですよ♪」


「なんですって!エリカが?!どういう事なのエリカ!」



「えっと、どういう事と言われましても(汗)記念日はお姉様、、、じゃなくてお姉ちゃんが勝手に言ってるだけですけど


ジャムはお母様に食べて頂いて、美味しければお茶会に出すか販売の許可を頂きたいなと」


「ん?エリカ、あなたいつからそんなにハキハキ話すように、、、あっ!だから赤飯なのねフレデリカ!」


「はい♪」



「エリカが自分で試練を乗り越えたという事よね!良かった、本当に良かったわぁ~~~(泣)」



あっ?!


お母様が号泣してしまった(汗)



「お母様泣かないで下さい」


「うぅっ、、嫌です」


「は?、、、お母様、意味が分からないのですが」


「その呼び方は嫌です!フレデリカのように気軽な呼び方を所望します。」



えぇー!


フレデリカお姉様に続いてお母様もなの?!



「えぇーっと、お母さん」


「あらあら♪お母さんかぁ、、お母さん、お母さん、、、うふふっ、はーい、エリカのお母さんですよー♪」


『ぎゅうぅぅ♪』


む゛ぅ?!




懸念していた事が現実となってしまいました、この母にしてフレデリカお姉様在りという事ですね


どうやら私はただの仲良し家族の娘に生まれたようです。



そして私の顔はお母さんの胸に押し付けられて、綺麗なお花畑が見える気がします。



あれ?


もしかして、お父様もこんな感じの人なの?


流石にあの硬そうなガッチリした胸で抱きしめられるのは嫌なんだけど(汗)






つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る