第6話 カルチャーショック

side:エリカ





「あの、ジョゼ料理長はお菓子について知ってる事はありませんか?」


「菓子は生憎と専門外なんで詳しく無いんですが、氷みたいな砂糖があると聞いた事はありますね」



氷みたいな砂糖っていうとそのまま氷砂糖の事だろう


これならザラメもありそうね、ザラメで『わたあめ』を作って是非食べたい!


でも私が今欲しい物じゃないんだよなぁ



「ジョゼ料理長は生クリーム、バター、バニラ、シナモン、という物を聞いた事はありませんか?」


「は?、、、聞いた事無い物ばかりですね、それにシナモンは香木でしょう?菓子には使えないと思いますが、エリカ様はどこで知りなさったので?」


「えっと、たまたま読んだ本に書いてあったのを思い出したんです!何の本に書いてあったか忘れてしまったので、ジョゼ料理長なら知っているかと思いまして」



「お力になれずすんません、しかし本に書いてあったとなると料理人としては気になりますね」



うーん、菓子に使わなくても生クリームやバターはあると思ったんだけど無いのか


でもシナモンが香木として使われてるなら、バニラも同じような用途で使われてる可能性はありそうね



「ねぇエリカ、このままだとお菓子は作れませんよね(悲)」



わぁー(汗)


フレデリカお姉様が悲しそうな顔をしている、これはなんとかしなければ!



「ジョゼ料理長、ジャムはありませんか?」


「ジャム?」


「潰した果物をフライパン等に入れて火にかけて煮詰めた物で、パンに付けて食べたりする甘いソースなんですけど」


「エリカお嬢様、パンに甘いソースは合わんでしょう。それに温めた果物は好き嫌いが分かれるでしょうし」



これぞカルチャーショック、というやつなのかもしれない


この世界は塩をきかせたパンを主食として食べているから、言うなれば炊き立ての白米にジャムをかけるような物だろう


一見気持ち悪い組合わせに思えるけど、私は『おはぎ』を知っているから合わなくは無いんじゃない?


と考える事が出来るけど、この辺りの固定観念をぶち破るのが先か



「ジョゼ料理長、今厨房にある果物を教えて下さい!」


「ブルーベリーとアセロラならジュースにしようと大量に仕入れてますが」



ラッキー♪


ブルーベリーなら砂糖無しでも美味しいジャムになる!


あとは短時間で作れてブルーベリージャムに合うお菓子だけど、使える材料は卵と小麦粉とミルクくらいだろうから


ホットケーキは、、、駄目ね


ふっくらさせるのが難しいしバターが無いんじゃなぁ


ヨーグルトも時間が無いから無理だし


パンにブルーベリージャムを付けて食べるだけでも良いと言えば良いんだけど、、、


あっ!


クレープならいける!



クレープを何枚も重ねた間にブルーベリージャムとアセロラを挟んで、ミルクレープにも出来るし


そうと決まればクレープ作り開始だぁ!






つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る