第3話 フレデリカは妹を抱きしめたい

side:フレデリカ・ウルツァイトハート





なんという事でしょう!


妹のエリカが私の事を『お姉ちゃん』と呼んでくれました♪


平民の姉妹がそのように呼んでいるのを聞いてから密かに憧れていたのです。



幼い頃はいつも私の後を付いてきて『お姉様、お姉様』と、それはもう可愛くて仕方無かったのですけれど



私が白魔法の使い手として周囲から特別扱いを受けるようになった頃からでしょうか?


エリカは私と距離を取るようになってしまいました(泣)


周囲からチヤホヤされる私を見て、エリカなりに気を使った結果なのかもしれませんけれど


それは年を重ねる毎に酷くなり、エリカは自身に特別な能力が無い事を卑下するようになって行ったと思われます。


父や母にすら距離を取るようになってしまい、エリカは積極的に人と関わる事を止めてしまったように見えました。



あの頃のエリカは見ていてとても痛々しく、今思い出しても涙が止まりません(泣)


当然ながら私は直ぐになんとかしようとしたのですが


父はそれでは何の解決にもならないからと、エリカ自信が乗り越えなくては


エリカは死ぬまで自身を卑下し続け、孤独な人生を送る事になってしまうと


だからしばらくは何もせず見守っていようと言ったのです。



まだ幼いエリカに対してなんて酷い事を言うのだろうと、私は耳を疑いました


しかし、父が本気だと知り


私は父をぶん殴りました


まぁ結果は見事にかわされてしまい尻餅を着く事になったのですけれど(恥)



剣の実力だけで平民から男爵になった父に、私が勝てる道理はありません


だからこそ、エリカがずっとこのままだった場合に父をボコボコにする為に


魔法は勿論の事、剣術に暗殺術も必死で学びました


そして、あらゆる傷を癒す事が出来る白魔法を極めれば、いつかエリカの心の傷も癒せると信じ今まで頑張って来たのですが



今日、屋敷で私を出迎えてくれたエリカは、昨日までのエリカとは別人のように晴れやかな顔をしていました


何があったのかは私には分かりません



でも、『お姉ちゃん』と呼んでくれた最愛の妹を私はもう2度と離したりはしません!


自由に妹を抱きしめる事が出来なかった今までの人生がどれほど辛かったでしょうか


いっその事、白魔法が使えなくなったと嘘を吐いてやろうかと何度思った事か分かりません


それが無理ならオルヴィエート王国から出て行く事も考えました


エリカを自由に抱きしめられないなら、白魔法にもオルヴィエート王国にも何の価値も無いのだから


しかし、それもこれもエリカの問題が解決しなくては出来ない事



私なんかよりエリカの方がよほど辛かったはずです。


ですが心配無用です!


これからは私がエリカを守ってみせます!



エリカが『お姉ちゃん』と呼んでくれるのなら


私はドラゴンを倒す事だって出来ますし


父をボコボコにする事、、、はまだ無理かもしれませんけれど(汗)


私は何だってやってみせます




だって



姉が妹を想う気持ちは無敵なんだもの♪






つづく。

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