第2話 姉妹

side:エリカ・ウルツァイトハート





『ブォーーーーーーー』


濡れた髪を風魔法を使って乾かす。


火魔法との組み合わせで『温風』が出せたら濡れた服も乾かせたんだろうけど


凡人の私には魔法を2つ同時に使うなんて事は難易度が高過ぎる


フレデリカお姉様なら4つくらい同時に使えるかもしれないけれど




スクールカースト最下位で居る限り、クラスメイトからの苛めは続くからどうにかしたいんだけど


爵位という鉄壁の前では如何にともしようがない


私を苛めるより仲良くした方が得だと知って貰えれば自然と苛めは無くなるはず!


そこで考えたのが前世の記憶にあるお菓子を作る事だ



この世界の甘いお菓子というと『角砂糖』しか無い、あくまでもエリカの記憶によるとだけど


砂糖が貴重過ぎて砂糖をお菓子や料理に使うという発想が無いらしい


だからお茶会でも角砂糖を舐めながら話に華を咲かせるのだとか


理由はどうあれこんな世界だから、お菓子を作ってお茶会で出せばかなりの衝撃を与えられるんじゃなかろうか


残念ながらウルツァイトハート男爵家は気軽に砂糖を買えるほど裕福ではないから、出来れば砂糖を使わず甘くて美味しいお菓子を作る必要がある


まぁそこは工夫次第でどうとでもなるから、まずは家に帰って試作品を作らなくっちゃ♪









「ただいま~」


「お帰りなさいませエリカ様」



おおっ!


リアルメイドだ♪


でも分かってはいたけどウルツァイトハート男爵家の屋敷で働くメイドさん達や使用人さんとは、見えない壁がある気がする



記憶の中での両親や姉とは、仲が良いとも悪いとも言えない関係なのよねぇ


将来を約束された優秀な姉がいるお陰で、凡人の妹は邪魔なだけかもしれないけど





「ただいま帰りました」


「お帰りなさいませフレデリカ様」



ゲッ?!


このタイミングでフレデリカお姉様が帰って来るなんて


とは言え姉との関係性ははっきりさせておかないと駄目ね



「お帰りなさいお姉ちゃん、、、じゃなくってお姉様(汗)」


「なっ?!エリカ、あなた今の言葉をもう1度言ってみなさい」



あれ?


なんかマズい事言ったかな?


それとも話かける事自体が駄目なほど仲が悪いとか?


とにかくもう1度



「お帰りなさいませお姉様」


「違います」



えぇー?!


違うの?


しかもちょっと怒ってる気がするし(汗)


ここは慎重に行こう!



「お帰りなさいませ姉上様」


「むぅ(泣)」



何これ?


フレデリカお姉様がほっぺを膨らまして涙目なんだけど、超絶可愛いんだけど!


これってもしかして



「おっ、お帰りなさいお姉ちゃん」



これでどうだ!



「は~い、お姉ちゃんですよー♪」



『ぎゅうぅぅ♪』



む゛ぅっ?!


どうやら正解だったらしいけど


仲が悪いどころか


めちゃめちゃ仲良し姉妹やーーーーん!






つづく。

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