中東停戦監視団報告書

記入者 部隊情報幕僚 池田隼人 二等陸佐

    部隊情報幕僚 南綾華  三等空佐


1.被害概要

日本時間7月20日23時05分より本日、日本時間7月23日現在の一連の事案に関係すると推定される被害状況は次の通り。


7月20日

イタリア海軍駆逐艦「マルカントニオ・コロンナ」 沈没

オランダ海軍駆逐艦「トロンプ」 沈没


7月22日

約13万トン級タンカー(スエズマックス)ドイツ船籍 一隻 大破着底


死者294人(0) 行方不明41人(1)  ※()内は民間人


攻撃手段

船体の破損具合と周辺海域で採取された海水成分の分析結果より算出された情報をもとに今回の攻撃に使用された手段を考察した結果は次の通り。


・533㎜魚雷 61.7%

・406㎜魚雷 31.8%

・483㎜魚雷 0.65%


その他

イタリア軍主要将校団が乗艦していたことが発覚し、最高指揮官であったロレンツ・キアーラ陸軍少将、現地イタリア空軍部隊司令のカミッロ・ドロエット空軍大佐、憲兵隊長のルキーノ・ベネデッティ憲兵中佐の死亡を確認。イタリア軍部隊の臨時司令にはジブチ基地司令のフランカ・パンターノ陸軍中佐があたることとなった。


2.攻撃を行った勢力について


監視団情報隊及び多国籍軍各情報部隊の調査によると先の中東戦争において、アフリカ連合軍が北朝鮮より購入した旧ソ連製の通常型動力潜水艦が正確に撃沈を確認を行えていなかったため、今回の事案における敵潜水艦は同艦であると推定できる。同潜水艦は行動期間、潜航深度が限定されるため対潜ヘリをもって現在捜索中。攻撃を行った勢力は同艦を運用していた海軍部隊が駐屯していた旧モロッコ地域のイスラム系武装組織「アルマード・アズラブ」と見て捜査を進める方針で、容疑確定次第、掃討作戦を実施する予定である。


3.地上部隊の被害状況について


関連する事案とは考えにくいが地上部隊にも被害が出ているので報告する。7月21日現地時間23時34分、定時パトロール中のポーランド陸軍部隊が何者かの襲撃を受け17名の隊員全員が殺害された。同日現地時間23時32分、襲撃を伝える報告がポーランド軍司令部に届き、15分後に即応部隊の攻撃ヘリ一機(スペイン陸軍所属のタイガー対戦車ヘリ)が襲撃地点まで急行したがその段階で全員が死亡していた。遺体の損壊程度が少ないことから野戦に慣れた特殊部隊経験者による襲撃の可能性が著しく高く、機関銃手、通信手の順で殺害されたと思われ、暗視装置を装備した狙撃手がいる可能性もあるとのこと。ポーランド軍は敬礼や指揮官章を外し、指揮官が特定されるのを避けていたが、小隊長の中尉と、少尉候補生の隊員も頭部貫通銃創を負い、一発で殺害されていたのを見るに非常に強力で訓練された部隊による攻撃と見て間違いない。殺害されたポーランド兵の内、7名が実戦経験者であり普通のテロリストに殺害される可能性は非常に低く、たとえ訓練された小隊であっても、今後数か月間は中隊規模を基本とした行動をするようにと中東停戦監視団全部隊に下令された。


4.今後の対応について


自衛隊部隊の今後の活動及び方針は次の通り

1.通信秘匿の厳守。

2.階級章を着用せず、敬礼を行わない。

3.将官旗、指揮官旗等の掲揚を行わず、国籍旗及び軍艦旗の掲揚のみ行う。

4.警戒パトロールはイギリス軍部隊と協力し、必ず二個小隊以上で行う。

5.部隊内での規律の維持のため警務隊員を増員し、犯罪防止、風紀維持に努める。

6.隊員のストレス防止のため、基地内での喫食、娯楽用映画等の制限を緩和する。

7.掃討作戦及び本案件に関わる情報の収集及び多国間協力の推進


戦闘が近づくストレスにより、隊員の自殺や現地住民への犯罪が行われる可能性がある。それらに対処するため精神科、心療内科経験の医官、臨床心理士の資格を有する予備自衛官等による簡易的なストレスケアを行う。また女性自衛官および女性事務官については拳銃の携行を認め、警務隊による基地内の巡視の回数を増やす。なお監視団警務隊司令は向井葵二等海佐とする。


記載事項確認者 中東停戦監視団副司令 東正 一等陸佐

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