第8話 暗黒魔法は宇宙より黒く

その日の昼マリィのパーティはマリィのレベル上げをする予定だったが、メーテルが頭痛を起こしてしまったため念のため延期になった。

暇だったマリィはニガヨモギとイツキの部屋に遊びに行くと、そこにはニガヨモギだけがいた。

どこか顔色の悪いニガヨモギだがマリィは気が付かない。

マリィはニガヨモギに「イツキはいつもニガヨモギに女の子を取られてるの? 笑っちゃうね」と話しかけた。

ニガヨモギは「…でもマリィもイツキが好きな癖に」と暗い顔をして笑った。

「え、何で知ってるの⁉」と驚くマリィ。

ニガヨモギが酷く汗を欠いているのに気が付くマリィ。

「みんなそうだ! イツキが! ぼくの愛する人を!」

ニガヨモギは精神が錯乱しているのか突然空に向かって叫び始める。

驚いて青ざめるマリィ。

そのときイツキとメーテルが部屋に入って来た。

「おーいニガヨモギ、カーサンが鎮痛剤お代わりだって」

事情を知らないイツキがそう言ニガヨモギに言うと、ニガヨモギはイツキに向かって「イツキぃぃぃぃぃ!」と叫び、手のひらを強く開いてイツキに向けた。


「えええ! まさか暗黒魔法…!」

マリィは思わず叫ぶ。

ニガヨモギの手から見上げる宇宙のような漆黒の光が放たれる。

イツキの心臓付近に小さな黒い空間が現れた。

「さあ、マリィどうする? イツキの心臓はじきに消えるよ。寿命はあと2週間くらいにしといたよ…」

ニガヨモギはイツキを見ながら嘲笑する。

マリィにはニガヨモギが知らない人のように見えてしまい涙が止まらない。

「…イツキ!」

マリィはイツキに思わず掛けよる。

「マリィ無駄だよ…イツキの心臓が消えたらマリィはぼくのものだね」

マリィは思わずニガヨモギを睨みつけた。

「私の前では誰も寿命まで生命は死なせないわ! 無駄な生命なんて無いもの‼」

「さあどうかな」

ニガヨモギは誰も知らない顔でずっと笑っている。

暗黒魔法。

マリィは聞き覚えがあった。

マリィを育ててくれた寺院では、暗黒魔法の対処法については口伝で伝えられる。

暗黒魔法は下手をすれば口にするだけで全ての生命を枯らすものであり、マリィが育った寺院では適正がある子供だけが選ばれ未成年のうちに歌として暗黒魔法の対処法は軽く学ばされる。

しかしあくまで対処法だけだ。

暗黒魔法自体は家系的に守られるものであり、決して使っても漏らしても行けないものとして扱われるとマリィは歌で知っていた。

暗黒魔法の使い手として産まれる者は非常に能力が高く、他に食いぶちが出来るから暗黒魔法を使う必要も無いとマリィは聞いている。

そう、条件的にニガヨモギは暗黒魔法の使い手としての能力が十分にあった。

マリィはの目は強く強くイツキを見た。

そして「あなたを死なせない!」と強く言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る