50:ホテルへGO!
「先輩、お待たせしました!」
可能な限り全力で俺は先輩の家に向かい、息をはぁはぁと切らしながらインターホンを鳴らす。すると俺を出迎えてくれたのは先輩ではなく、何やらすごく顔を真っ赤にしたちひろさんだった。
「き、きてくれたんだ真田くん……。お、お姉なら自分の部屋でまだ暴走してるから、早く顔を合わせてあげて」
「わかりました。でもちひろさん、なんでそんな顔を赤くしてるんですか?」
「そ、そりゃお姉があんなたくさん……え、エッチ! もう二人ともえっちすぎて付き合ってられない! 早くお姉を家から連れて行って!」
「うわぁ!?」
半ば強制的に俺はちひろさんに腕を引っ張られて、俺は先輩の部屋に誘われる。するとそこにはベッドをゴロゴロと枕を抱きしめながら転げ回る先輩の姿あった。
「お、お姉……真田くんきたよ」
「会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたいいいいい…………へ?」
「い、いや……だからきたんだって」
先輩は俺が家に来たことを聞くと、すぐに転がるのをやめてキョトンとした表情を見せていた。どうやらまだ状況を飲み込めていないのかな?
「……え、ちょっと待って。も、もしかしてなんだけどさ……さ、真田くん、さっきの私見ちゃった?」
「はい。というかちひろさんからラインで転げ回ってる先輩の様子を写した動画が送られてきたので」
「…………ああああああああ! な、なんてことをしてくれたのちーちゃん! こ、これじゃあ真田くんにドン引きされるに決まってるじゃんあああああああああああああ!」
「そ、そんなのお姉が一番悪いんじゃん! それに私はお姉の要望通り真田くんを連れてきてあげたからむしろ感謝して欲しいぐらいだもん! じゃあ後は二人でホテルでもなんでも行って! と、とにかくこれ以上うちでえっちなことしないで!」
そう言い残してちひろさんは自分の部屋に戻っていった。つまり、今俺は先輩と二人きりの空間にいるってわけだ。土屋先輩はまだあたふたしまくってパニック状態のようだけど……俺の心はもう決まっている。
「ああ、ええっと……こ、これはその……ち、違うというか……そ、そ、その……」
「先輩!」
「ひゃ!? さ、真田くん!?(さ、真田くんにハグされちゃった……だ、抱きしめられちゃった!? ど、どうしようどうしようどうしようすごく嬉しくて身体中が燃えそうだよ!)」
俺は先輩のことをぎゅっと抱きしめた。慌てふためく先輩も可愛いけど、今はとにかく落ち着いてほしいから。それに……俺も、先輩と会えなくて寂しかったから、その分の埋め合わせをしたい。
「俺、先輩があんなに俺のことを求めてくれたのすごく嬉しかったんです。正直、先輩は本当に俺のことを好きなのかなって不安もありましたし……結局、記憶だって戻らなかったので。だからこそ、動画を見たときはすごい喜んじゃいました」
「さ、真田くん……」
「精一杯、俺は土屋先輩のことを大切にします。それに、寂しい思いももう絶対させません。先輩が満足するまで毎日会えるよう頑張りますね!」
あれだけ俺のことを求めてくれた先輩は可愛かったし、嬉しかった。でも、もう先輩があんなことしないで済むようにこれからはしないといけない。だって俺は、先輩の彼氏なんだから!
「……真田くん、実はね」
「なんですか先輩?」
「……記憶、戻ったの」
「……へっ!?」
どんなことにも動じないよう覚悟は決めていたけど、流石にいきなり記憶が戻ったって言われてしまったらびっくりする。だ、だってキスをしたりしても何も思い出さなかった先輩の記憶が戻るなんて想像もできなかったし……え、マジで?
「じゃ、じゃあ先輩……記憶が戻った上であんなことを?」
「……だ、だって私、私ね! ど、ドン引きしないで聞いてね!」
「は、はい!」
な、何をこれからいうんだろう先輩。ドン引きなんてするつもりは毛頭ないとはいえ、ちょっと相当な覚悟が必要な気がした。俺は気を引き締めて、先輩が言うことに耳を傾ける。
「……真田くん、彼女いるってことにしてたじゃん。私の目の前でコンドーム買ったりして」
「うっ」
い、嫌なところを突かれた。も、もしかして記憶を思い出して俺に愛想が尽きたってことなのか? で、でもそしたらあんなことするわけもないし……。
「そ、それがすごいショックだったから私、真田くんにあれ以降めちゃくちゃアピールしまくったんだけど……」
そうか、だからやたらとパンツやブラを見せてきたのか! 謎だったことがわかって少しスッキリしたような気がした。
「その時のことを思い出して……私のうちに秘められた欲望がもう止められないの」
「よ、欲望?」
「私、真田くんのこと……ずっとぶち犯したかったの!!!!!!!!!」
「……はえ?」
ぶ、ぶち犯したかった……!? せ、先輩ストレートすぎないか!?
「ほらこれ見て! 真田くんといっぱいするために買ったの!」
「こ、コンドーム!? な、何個あるんですかこれ!?」
コンビニの袋に入った数多くのコンドームを見せられて、先輩の言っていることが冗談ではないことを痛感させられる。で、でもそれだけ俺のことが好きってことなんだよな? 正直それは……めっちゃ嬉しい。ウヘヘ。
「もうしよ! しようよ真田くん! 私、我慢できないよ!」
「するんだったらホテルに行ってよ!!!!!! い、家でそんな不純なことさせないから!」
「ちひろさん!? うわ、力つよ!?」
ちひろさんのえっちセンサーが働いたのか、ひょっこり現れては俺と先輩の腕を掴んで家の外に無理やり追い出してきた。そ、そこまでえっちな展開が許せないのか……。
「よし真田くん、ホテルへGO!」
「え!? う、うわああああああああああ!?」
姉妹揃っていざと言う時の力は強いらしい。俺は土屋先輩にがっちり手を掴まれて近くのラブホまで連れて行かれた。
つまり、この後どんなことになったかは……な?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます