48:ようやく先輩が退院しました
正式に土屋先輩とお付き合いすることになってから数日後。無事、先輩は退院することができた。様子を聞くために電話をしたところ、どうやらもう元気いっぱいみたいで何も心配することはなさそうだ。本当は退院にも付き添いたかったんだけど、今日は学校の行事の関係上行くことができなくて、正直寂しい。
「ヨシト、先輩さん退院したんだってな。随分と嬉しそうな顔しているじゃないか」
「いやーそんな顔に出てるか俺? うっへへ、ちょっと取り繕ったつもりだったんだけどなぁ」
「それで取り繕ってるつもりなら相当嘘が下手なことになるぞ」
「そ、そんなに!?」
俺的には結構上手く隠していたつもりだったんだけどな……。今は家だからカタリナ一人に痴態を見せるだけで済んだけど、外ではもっと気をつけないと。
でも、それぐらい今の俺は喜びにあふれているんだ。だって、ずっと望んでいた土屋先輩との交際を実現させることができて嬉しいって感情がもう溢れ出てしまっているんだから。ああ、なんて俺は幸せ者なんだろう……。
「でも結局先輩さんの記憶は戻らなくて残念だったな。元に戻りそうな気配はあるのか?」
「うーん、記憶はまだ戻ってないみたいなんだけど、あることをしたら戻るみたいなことは言ってた気がする。でもそこの詳細がよくわからないんだよ」
「ふーん……(おそらくヨシトに言えない恥ずかしいこと関連かな)」
「まぁ記憶が戻らなくても先輩は俺のことが好きって言ってくれたし、もう問題なんて一つもない。ああ、明日のデートが楽しみすぎて眠れる気がしない……」
「ん? もうデートするのか?」
「正確には俺が退院祝いってことで誘ったんだけど。でも二人きりだからデートだって言っても間違いじゃないだろ?」
「お前……随分と立派になったなぁ」
以前までのうじうじしていた俺では間違いなくしなかったであろう行動にカタリナは驚きと感嘆の表情を見せていた。実際、自分でもここまで行動できることにびっくりしたところもある。だけど俺は学んだんだ。いつまでも行動しないでいると一生の後悔につながってしまうかもしれないって。だから俺はもう先輩とたくさん楽しい思い出を作るためなら恥なんか捨てて行動しまくることにした。
「それで、デートはどこに行くんだ?」
「この前先輩の誕生日に行こうとしたお店に行こうかなって思ってる。服とかどうしようかなぁ……絶対先輩に恥ない服を着ないと……」
「ほー楽しそうでいいことだ。ところでヨシト、いまラインを見たらだな……先輩さんの妹から鬼の連投が来てるんだが。お前のところにも来てないか?」
「え? あ、本当だ。なんだろうちひろさん、まさか先輩と付き合うのがえっちだとか変なことを言ってくるの……え?」
ちひろさんの連投でラインの通知が確かにやばいことになっていたので見てみたら、そこには先輩が枕を抱きかかえてゴロゴロとベットを転がり回る様子と共に、こんなメッセージが送られていた。
『真田くんに会いたあああああああああああああああああああああああああああい! 会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい! あと0.0———』
『お姉が真田くん不足だって言って家で暴れてるの!』
『なんか病院にいた時は毎日あってたから一日会わなかっただけでもうダメみたい!』
『あ、あとその……な、なんか0.01mmのアレをあーだこーだ言ってて……ああえっちえっちえっちえっち!』
『と、とにかく早く来て欲しい! 今は親がいないから私だけお姉の痴態を見るだけで済んでるけど、このままじゃ家庭崩壊につながっちゃうよ!』
「……へ」
「wow……先輩さん、やっぱ面白い人だなぁ、AHAHAHAHAHA!」
なんだかすごいものを見てしまった。先輩、俺に会いたくてこんな駄々をこねるなんて……な、なんと言うか……その……。
すごく嬉しい!!!
ここまで俺のことを思って暴れてくれるなんて、それだけ先輩は俺のことを好きでいてくれるってことだよな! ああ、感動ものだ……そんなに俺のことを思ってくれているなんて感無量すぎる。
「おいヨシト、これ見て随分と嬉しそうな顔するお前もかなりやばいからな」
「へ!? い、いやいや好きな人からこんな風なことされて喜ばない奴の方がおかしいだろ」
「Oh……お前もそっち側だったのか」
「じゃあカタリナ、俺先輩のところに行ってくるわ。母さんたちには……友達のところに行ったって伝えてくれ」
「ああ、安心しろ。ちゃんと年上の爆乳彼女のところに行ったぞって伝えておくからな」
「おいふざけるな! 家族間で厄介な問題になりそうだから絶対にやめてくれ
!」
「はいはい、わかったよヨシト」
「絶対だからな! よし……それじゃあ行ってくる!」
こうして俺は猛ダッシュで俺のことを待ち遠しくしている先輩のところへ向かった。待っていてください先輩……俺、すぐに先輩の元に駆けつけますから!
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