30:後輩くんの彼女さんに宣戦布告


「いやー、楽しかったな観覧車。ヨシトの面白いところもいっぱい取れたし」


「そ、それは今すぐ消してくれ! まぁ……でも、初めて観覧車に乗ってよかったって思えました。先輩、ありがとうございます」


「いやーそれほどでも〜。真田くんが喜んでくれることが私にとって何より嬉しいことだから、私ももう最高の気分だよ!」


「ならよかったです! ……あとすみません、トイレ行ってきてもいいですか?」


「またかヨシト? お前、まさか……」


「ち、違う! 色々緊張してるだけだっての!」


「全然ヘーキだよ。いってらっしゃーい」


 それから数十分。


「先輩さん、ヨシトから連絡あったけど近くのトイレが故障してたらしくて、ショッピングセンターに行ったらすげー混んでるからまだ時間かかるって連絡が来たぞ」


「そ、そっかぁ……」


 公園を散歩した時と違って、真田くんがすぐにトイレから帰ってこなかった。確かにここら辺は人が多いから、トイレが故障してたら人が集まっちゃうよね。でも……気まづいなぁ、カタリナさんと長い時間二人きりってのは。


「そうだ先輩さん。さっきの写真も一万円で買うか? ちゃんとヨシトにはバレないようにするぞ」


「そ、それはぜひ!」


「まいどー。でも先輩さん、あんた本当にヨシトのことが大好きなんだな」


「うん、世界で一番大好きー…………あ、ああああああああああああ!?」


 何を言っているんだ私は!? 真田くんの実の彼女の前で大好きって馬鹿正直に、しかも目をキラキラさせながら答えちゃうなんてどうかしてる! カタリナさんもまさかこんなきっぱり言うなんて思ってなかったのか、唖然とした表情をしてるし……。


「Oh……もうちょっと誤魔化すかと思ったんだが……」


「い、いやこれはち……がわないけどその…………」


 必死に誤魔化そうとしたけど、もう今更手遅れな気がして。私は一度深呼吸をしてから一旦落ち着いて、カタリナさんの目をしっかりとみる。ああ、本当に綺麗な人。こうやって真っ向から見てたら自信無くしちゃうや。


 でも。私はどうしても真田くんのことが大好きだから。


「……そうだよ、カタリナさん。私は真田くんのことが大好き。世界で一番、彼のことを愛してる人間だって断言できるぐらい好き!」


 私は正直に、カタリナさんに自分の思いを伝えた。


「ふーん。まぁ、それはなんとなくわかってはいたけど。写真一万円で買うほどだし」


「だ、だって真田くんとのツーショット写真撮ったことないんだもん!」


「だったら自分から誘ったらいいじゃないか」


「それができないからあなたに真田くん取られちゃったんだよ!」


「情けないなぁ、先輩さんは。ま、とはいえ私もそうやすやすとヨシトを渡すわけにもいかないのでな。先輩さんには悪いが、その思いは諦めてくれ」


「絶対イヤ!!!」


 そりゃ彼女さんからしてみればそう思うのは当然だと思う。でも諦めたくなんかない。私は将来真田くんと大学生卒業するまでイチャイチャラブラブしまくって、社会人になったら軽井沢の教会で結婚式を挙げるんだもん! そして幸せな家庭を作って、これ以上ない最高の夫婦でい続けるんから!


「ならヨシトに伝えないといけないな、その思い」


「そ、それは……ぜ、絶対いつかしてやるから!」


「AHAHA! ならその時を楽しみにしてるよ。私は先輩さんの挑戦状をいつでも受け付けてるからな」


「そ、そんなこと言ってる余裕もすぐ無くしてやるから!」


「いやー、面白いなぁ二人とも。そしたら先輩さん、ラインを交換しようか。ヨシトの写真も送るのに便利だしな」


「う、うん」


 あ、あれ? 真田くんの彼女の連絡先手に入れちゃった。カタリナさん、そんなに余裕なのかな……ふ、二人の時はすごくイチャイチャラブラブしてるの? う、ううん考えちゃダメ私! いつか私が真田くんとそうするんだから!


「お、お待たせしました!」


「やっときたかヨシト。こっちは先輩さんと連絡先を交換したところだ」


「え、なんで?」


「いやー、色々あってねー。それじゃあ真田く」


「ヨシト、私はお前がいなくて寂しかったぞ。ほら、ギュって返せ」


「い、いきなり抱きしめるなカタリナああああああああああ!」


「あ、あ……」


 早速カタリナさんは私に喧嘩を売るかのように、真田くんのことをぎゅーってで抱きしめる。こ、こんないきなりパンチくらうとは思ってなかったけど……喧嘩上等! 私だって真田くんとイチャイチャするもんね! ほら、私の身体も堪能しなさい真田くん!


「私も寂しかったよ真田くん!」


「ふ、ふがが!? せ、先輩まで抱きしめないで……ああああ!」


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