第五話
ブブ。
携帯がなった。きっとLINEだろう。
携帯の通知を見ると、グループLINEから一件のメッセージがあった。
きっと、かなでちゃんが明日の小テストの範囲を聞いているのだろう。
今日のお昼の件があってか、なかなかLINEを開く気になれなかった。だから、そっとグループLINEの通知をオフにした。
次の日の朝。今日は、学校を休んだ。もちろん、よく分からない嘘をついて。
今まで信頼してきた友達に裏切られたショックは大きかったようだ。いや、物理的に裏切られたわけではない。私が拒絶してしまったのだ。
LINEの通知はどんどん溜まっていく。
「やっほー。大丈夫??」
「てんちゃん、大丈夫?うちもそういうことよくあるから、気にしないでね。ゆっくり休んでねー。」
「てんちゃんらしくないじゃん笑笑。大丈夫?
まぁ、無理せずゆっくり休みや。」
かなでちゃん、志音ちゃん、陽葵ちゃんの順番に、LINEの通知をオフにした。
最悪の友達だ。でも、3人のメッセージの裏側が見えるような気がして、心の傷がえぐられたからだ。
次の日はいつもと変わらず学校に行った。学校のキャラを守るため、いつもと同じテンションで3人と関わった。
その日のお昼、
「今日の数学の時間、自習やったやん。そん時、先生寝てたの知ってる?」
いつも通り、かなでちゃんが会話のきっかけを作った。
「うちも見たよ!めっちゃ面白かったよね。
てんちゃんは見た?」
志音ちゃんが私に話を振ってきた。
「あっ、うん。うちも眠かったから、いいなぁと思いながら見てた笑笑」
「うちはがっつり寝てたわ笑笑。先生とおそろや。」
「陽葵ちゃん、確かに寝てたわ笑笑。つよって思ったもん。」
かなでちゃんがそう返す。
「そういやさ、昨日の英語の先生も自習中寝てたよな。あっ、てんちゃん知らんか。」
陽葵ちゃんがそう言った。私はこの話題のことを知らない。そういえば、今日、何回かこういうことがあった。でも、この時初めて自分が3人とは遅れて歩いていることに気づいた。それと同時に、3人と横一列で歩けないことを知った。
「てんちゃん?」
「あっ、うん、ごめん。そーなんや笑笑」
「そそ、最近先生寝過ぎじゃねぇって思ってさ」
いつも通り会話は進んでいく。それでも、自分だけ置いてかれている気がした。
それから3日間、私は学校を休んだ。友達との関係に疲れたのだ。3人からのLINEも全て無視している。そもそも、志音ちゃんは関係ないし、2人も悪気があって言ったことじゃないのに、どうしてこうも簡単に自分の中で関係が崩れたのだろう。私も不思議で仕方がない。
でも、もう後戻りは出来ない。LINEは無視しちゃってるし、3日も休んでるしで、変人か病んじゃった人確定だ。これからどうすればいいのだろう。
その時ふとこう思った。
あぁ、中学までは割と成功ルート?をたどってきたのになぁ。
戻れるわけでもないのに、過去のことばかり考えてしまう。戻って何が出来るのだろう。きっと、何も変わらない。
自分の部屋の窓から見える景色に桜の木はなかった。
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