トリスタンは半信半疑でしたが、成果が直ぐに出たので信じる事にしました。

 そして2年後。


「確かに領民からは助かっているとは聞くが」

『しょうがないじゃない、食べ物が有るから来てくれる子に勉強の楽しさを教えられないのが悪いんだ。もっと改良しないとね』




 それから更に1年後。


「隣の領地から苦情が来ているんだが」

『じゃあ隣に小学校のノウハウと道具を貸し出そう、コレは独占して利益を生む為のモノじゃないからね』




 更に1年後。


「どうだ」

『春には学園が出来上がる予定だけど、修学上限を決めた方が良いかもね』


「なら入る時期と出る時期を決めないとな」

『酪農の落ち着いた時期なら確実に来てくれるだろうけど、春か秋か』


「春を基準に条件を満たしていたなら途中から入っても良いだろう、そう移民が都合良く来てくれるワケでも無いんだ、折角ココへ来てくれたのに、少し時期がズレた程度で1年を無駄にしては勿体無いだろう」


『言う様になったねぇ、最初は全然興味無さそうだったのに』

「いや、アレはお前がずっと黙っていた事に怒っていただけだ」


『そこぉ?!子供っぽいなぁ、そんなんだから嫁が』

「もう甥が居るんだ、今更面倒だ」


『はいはい、君にはジェシーちゃんが』

「2期制で良いな」


『だね』




 更に1年後。


「どうしてこう、子供を平気で捨てられるんだ」

『過疎地は食べるにも困ってる場所が有るんだもの、ココは衣食住に学も有る。良いじゃないか、恩義を感じて忠誠心も勝手に育ってくれるんだし、お互いにお得だよ』




 更に1年後。


「コレだから子女に勉学を学ばせても」

『結婚したからって役に立たないワケじゃないんだから、そう拗ねないでよ子供っぽいなぁ』




 更に1年後。


「ぅう」

『手紙で泣くなんて、すっかりおじさんじゃないか君。ダメだよ、若々しく居てくれないと』




 更に1年後。


「遂に、来年か」

『そこで提案なんだけど、潜入してみない?』


「は」

『学園長と理事長の前なら、誰だって良い子ちゃんになるじゃないか。だから試しに学生として過ごして、ココを改善してさ、だって王族の方が来るんだよ?ちゃんとしないと』


「いや、こんなおじさんは精々教師が手一杯だろう」

『まぁまぁ、作戦が有るんだ』


 だからと言って、どうして俺が少女に。


「私だけか」

『私もなるから大丈夫』


 お前もか。


「お前と私だけで過ごすのか」

『他にも協力者は必要だから、ライリーに男の子を頼むつもり』


「なら私かお前のどちらかが男児であれば良いだろう」

『いや、君女性として振る舞える?』


「なら私が男で良いだろう」

『公女様の性別は何だか覚えてる?観測者は多い方が良いでしょう』


「ならライリーが女子の役を」

『守る為の格闘センス0じゃない』


「ぐぬぬ」

『君の甥のリチャードにも了承は得てるし、さ、準備するよ』


 リチャード、既に知っていたのか。

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