第4話 お仕事

「よし!お仕事しましょう!」


大きく息を吸って、吐く。こうして気持ちを


落ち着かせてから私は仕事を始める。


昔見た本にあった家事の仕方を覚えていなけ


れば今頃私は家事も出来ない役立たずだった


と思う。お屋敷の倉庫にあった薬品で窓や床


の汚れを取るための液を作る。


「いたっ…。」


あかぎれだらけの手に薬品が染み、思わず


声が出てしまった。手を少し休めていた。


足音が聞こえる。コツコツと、多分ご主人様


だ。


「はっ…はぁっ…。」


休んでいたところを見られていたのかもしれ


ない。呼吸が荒くなる。なんでだろう、休ん


でたから怒られるのは当たり前なのに。殴ら


れるのは当然なのに。


「おいっっ。この小娘がっ。何を休んでい


る!」ガシッと首元の薄いワンピースを掴ま


れる。見られていた。いや、監視されていたの


かも。


「うっ…。ごっ…ごめんなさい。ご…ご主人


様。」必死にあやまったのが悪かった。私は


ご主人様にお仕置きされることになった。


「お前は、私のサンドバッグなんだ。こっち


に来い。」


「はい…。申し訳ございません。」


ご主人様は、私の一番嫌いな『暴行』をする


と言った。


お仕事を中断されると明日の朝に、なんで仕


事を最後までしていないんだ、と怒られてし


まう。寝る時間を惜しんでお仕事をしないと


いけなくなるから大変だ。ご主人様に引きず


られながら、涙がほろりと頬に垂れてくる。


なんで、当たり前のことなのに。あれ…息が


しづらい。胸が苦しい。なんで……。






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