第3話 このお屋敷は(2)

ご主人様は、立派なお屋敷を持っている。


私はよく知らないけれど、ご主人様は、なんか


大きい領地を任された凄い人らしい。


いつも温厚で、心が広く温かい人だと評判が


いい。


お屋敷内には、料理を作るためのコックさん2


人と、たまに庭師の方が来るだけと言う少な


い人数しかいない。ご主人様はその人達にい


つも優しくて、身分が下の人なのにも関わら


ず威張ったり乱暴に接さない。


私はご主人様の「さんどばっく」という役目


と大きなお屋敷の掃除、洗濯、コックさんが


いない時の料理を任されている。


私がこのお屋敷にいるということはコックさ


んやたまに来る庭師さんにはバレてはいけな


いと言いつけられている。


仕方ないのだ。ご主人様は日々忙しくてお休


みも取れないのに、人には優しくしてストレ


スが溜まっていられるんだ。こんな私なのだ


からご主人様のストレスによる暴力や暴言、


毎晩行われる暴行なんて、なんてこともな


い。私はご主人様の物なのだから。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る