第3話 宴の前に

「ではでは行きましょう!

 楽しい冒険のはじまりです!」


クリスティーヌは、ゆっくりと歩きはじめる。

イチもゆっくりと歩き出す。


「世界中のはらぺこに♪

 世界中のまんぷくを♪

 世界中をこにこに♪

 笑顔で溢れる世界♪」


クリスティーヌが歌う。


「……?」


イチが首を傾げる。


「どうかしましたか?」


「聞いたことあるような歌だなって思って」


「そうなのです?」


「うん」


「ん?」


クリスティーヌが足を止める。


「どうかした?」


「非常に言いにくいのですが」


「うん?」


「お腹すきました」


「さっき狼食べましたよね?」


「足りません」


「えー」


イチは驚く。


「ぐおおおおおおおおん!!!」


黒いドラゴンがクリスティーヌの前に現れる。


「ご飯来ました!」


クリスティーヌがニッコリと笑う。


「誰がご飯や!」


黒いドラゴンがツッコミを入れる。


「何を言っているんですか?

 ハデスちゃんはご飯ですよ?」


「さらりと怖いことを言うな!」


黒いドラゴンは人の形に姿を変えた。


「ドラゴンが人の姿に!」


イチは驚く。


「ウチの名前は魔獣ハデス。

 アンタがイチやな?」


「うん!」


「そんなことよりハデスちゃん。

 おかずを出すかおかずになるかしてください!」


「ドラゴンは食べ物とちゃうで!」


「残念……」


「ぶひぶひ」


小猪がイチの足元を通り過ぎる。


「ご飯だ」


クリスティーヌが小さく笑う。


「ご飯だ!」


イチも喜ぶ。


「猪鍋やな」


「でも、小さいですよ?」


「何を言うハデスちゃん。

 小猪の近くには小猪が数匹いてそして!

 親猪もいるのです!」


イチが小猪を素手で掴む。


「ご飯!」


すると親猪が現れる。


「こっちが本命ですよ!

 クリティカルカッター!」


クリスティーヌが剣で大猪を斬った。

そして絶命する。


パニックになる小猪たち。


そして、鍋になる。

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