第11話 掃除機で幽霊を・・・・・・、これ大丈夫? 怒られない?

 トラちゃんが持ってきたもの、それは魔力を原動力とする持ち歩き式の小型魔導掃除機だ。


 一体何処から? どうやって持ってきた? どうしてこれを? と次々、疑問が浮かぶ。

 いや、本当にどうしろって言うんですか?


「あら、このニャンドラゴラちゃん、掃除機なんて持ってきたの?」

『にゃあ~』

「人懐っこい子ね~」


 よしよしとアーサー師匠がトラちゃんを可愛がってる傍らで私はレシピ本を開いていた。

 トラちゃんが持ってきたものは何かと必要なものばかりだった。

 もしかしたら・・・・・・。


「あった」


 レシピ本に掃除機を使ったレシピを見つけた。


――幽霊除霊掃除機。


 材料は掃除機、月光石、魔力パック――魔導機必須な魔力を貯める機関。この三つ。

 月光石ある、魔力パックは掃除機とユエさんから貰ったライトに内蔵されてるのがある、掃除機はトラちゃんが持ってきたのがある。

 ご都合主義ってこういう事を言うのかな?

 でも、幽霊除霊掃除機って・・・・・・。


――これは幽霊を月光石で実体化させ、魔力パックで強化した吸い込みで攻撃する掃除機型除霊道具。魔力パックのおかげで容量が無尽蔵だからどんどん吸い込んでも大丈夫。

 あと掃除機にはゴーストジュエルしか残らないから取り出しても幽霊は出てこないから安心してね☆


 とレシピに書かれていた。


 いや、これ、大丈夫なの?

 小さい頃に読んだことがある、超ヒットした幽霊退治物語でそういう道具が出てたような・・・・・・。

 本当に大丈夫なの??


「へえ~、掃除機の除霊道具ね。昔、流行った物語に出てくるのに似てるわね。丁度、材料があるし作ってみたら?」


 困惑する私を余所に師匠は勧めてくる。

 これ作って良いの?


「そこ気にしてたら錬金術やってけないよ~。物語に出てきた道具や薬を再現してレシピとして発表なんて結構あるよ」

「ええ~、そんな事あるんですか?」

「あるんだよ。それに大好きな物語に出てくる架空の道具や薬を作る為に錬金術師になる人も居るの」


 師匠から錬金術師の意外? な話を聞いて、ちょっと困惑する。

 私は両親が錬金術師で幼い頃から錬金術に親しみがあったし、町の人に頼られる両親の姿を見て育って、そんな両親に憧れたから錬金術師になったから。


 でも師匠の言うとおり、気にしてる余裕はないよね。

 作るか。

 先ずはライトから月光石を取り外して・・・・・・。


「あら、そのライトも使って良いわよ」


 考え込んでいたユエさんが割り込んできた。

 嬉しい申し出だけど、ユエさんから借りた物だし使うのは戸惑う。


「私は使わないから貴方にあげるつもりで渡したのよ。だから大丈夫」

「だってさ。ありがたく使いなよ」


 ユエさんの肩に腕を乗せて師匠がニヤニヤと言ってきた。

 そんな距離感ゼロ師匠にユエさんは呆れながらも笑っている。

 あの雰囲気から仲良くなりそうな気配がして嬉しい限り。


「それに月光石は魔力浸透率が鉱石の中でも一番高いのよ。魔力次第で月光石で幽霊に攻撃出来るかもしれない」

「え!? そんな事出来るんですか!?」

「魔女の伝承で月光石から光線を放って幽霊を退治したという伝承が残ってるわ。試してみる価値はあると思うの」


 ユエさんの話が可能なら・・・・・・、よし!


 地下室の錬成釜に錬成液を入れ、火を付け、そして、小型魔導掃除機、月光石を付けたままの魔導ライトを入れる。

 そして、今度はかき混ぜる事はしないで魔力を注ぎ込む。

 完成形のイメージを思い浮かべながら魔力を注ぐ。

 暫くすると錬成釜の中が光り出し、ポンッ! と音がすると。


「出来た!!」


 幽霊除霊掃除機の出来上がり!!


 見た目は持ち歩き式の小型掃除機だけど、吸込み口に月光石がキラリと輝いていた。

 フフフ、イメージ通り。


 どうして錬成釜に材料をぶち込んだだけなのに道具が出来たのかって?

 詳しく話すと長くなるので割愛させていただきます!!

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