第3話 幽霊の倒し方
「幽霊退治の仕方を教えて下さい!!」
ゴーストジュエルが高値で売れると聞いた私はユエさんにそう切り出す。
これには理由がある。
錬金術師なら必ず直面する悩みを解消するためだ。
錬金術師の必ず直面する悩み。
それはお金、金銭、錬金術を続けるにはお金が沢山必要なのだ。
錬成に使う素材は簡単に手に入る物もあるけど中には超が付くほど貴重な物が存在する。
貴重な素材を手に入れるには買うか、冒険ギルドに依頼するしかない。自分で手に入れるという選択もあるけど、錬金術師は研究職、戦闘向きじゃない。中には戦う錬金術師も居るけど(私の師匠が戦う錬金術師)。
当然、高級素材だけが問題じゃない錬成釜を始め、錬成に使う道具は特殊な物ばかりで非常に高価、工房を持って一人前と言われるのは錬成道具を揃えられるほどに稼いでるという意味。
優秀な錬金術師には貴族がパトロンとして付くこともあるけど、それは有名にならないと話にならない。新人でも金の卵と見なされるなら付くこともある、例え高慢ちきな性格悪いお坊ちゃんでも、将来が見込めると判断されれば付く。
あ~、くそ!! 彼奴のことを思い出したらイライラしてきたから、あんな高慢ちきでクールぶってる男なんて忘れよう!!
だから新人の錬金術師は錬金ギルドに来る依頼を受けて、ギルド内にある錬成室で錬成するという日々を送りながら生活を送るのだ。
錬金ギルドの援助があっても生活がままならない場合がある。
安定した生活を送るために副業する錬金術師も多い。
だから、私も副業をしたいなと考えていた。私は錬成薬を作るよりも錬成道具を作る方が得意なのもあって依頼は道具中心、依頼は薬の依頼が多いからお金が貯まらず困っている。
そんなタイミングでゴーストジュエルが高値で売れるという美味しい話に飛びつかないわけないじゃない!!
くひひひと笑ってる私に。
「倒せると言っても幽霊と魔物は勝手が違うのよ。安易な気持ちでやるというなら命落とすよ」
凄く低い声で注意されました。
こ、怖い・・・・・・。背後から怒りのオーラが・・・・・・。
これはまずい状況になっちゃたかな。魔物狩りの人に魔物なんて簡単に倒せるだろと言ってボコボコにされたバカ貴族を思い出す。
「す、すみません。だけど、この屋敷は師匠から譲り受けた屋敷です! せめて、私の手で屋敷に住む幽霊を退治したくて!!」
適当に理由を言うとユエさんは疑わしげにふ~んと言いながら私を見てたけど。
「解った。そう言うなら教えてあげるわ。だけど、しっかり話を聞いてね」
「はい!!」
やった~!!
きっと、ユエさんは私は軽はずみな気持ちでお願いしたのは解ってるんだろうけどしっかり教えてもらえるみたいだから頑張ろう!!
「先ず、貴方にこれあげるわ」
ユエさんは私に予備であろう月光石を渡してくれた。
キラリと淡い紫色を発光している月光石、とっても綺麗。
「月光石の光を幽霊に当てる方法だけど魔力を使うの。魔力で発光の力を強くさせて光らすの」
「魔力ですか・・・・・・」
「魔力不足が気になるなら、これどうぞ」
明りがない懐中電灯みたいなものをくれた。
明りの部分に月光石を填めるんだろうと考え、月光石を填めるとピッタリ! スイッチを入れるとパッと月光石の明りが強くなった。
これは所謂、魔法道具ってやつか。
「ありがとうございます!! これなら!!」
「それで幽霊を実体化させて攻撃するんだけど、貴方、戦った経験ある?」
「あっ・・・・・・」
一番重要な部分がダメじゃん!!!!!!
ガックリと項垂れるとユエさんがポンと優しく私の肩を叩き。
「とりあえず、今回は私と一緒に行動して戦い方を身につける?」
「はい・・・・・・」
お言葉に甘えることにした。
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