最終話

 真哉は通信制高校に通いながらスターレット資格を持ってペット霊園兼宿坊のバイトを始めた。お金には困っていないからと言ったが真哉はどうしてもやりたいといってやり遂げた。しかし、八景学院神学部の受験に落ち、三鷹神学大学神学部に進学した。三鷹神学大学神学部は洗礼を受け一年間の教会生活を条件とする特殊な大学である。彼は幸いにも高校時代に洗礼を受け教会員として一年以上生活したため牧師の推薦状を提出して三鷹神学大学神学部に進学出来た。しかし、丹沢から三鷹は通学できず下宿生活となった。

 三鷹神学大学は授業が大変厳しい。何とか留年せずに三鷹神学大学大学院に進学した。しかし、神学研究に苦しみ彼は修士三年半でようやく修士号を取った。彼が牧師となった最初の赴任先は三鷹の隣の調布教会である。彼が牧師となった時は日本の人口が一億二千万人から七千万人に減っていた。ゆえに特別区の隣の調布市ですら空き家問題に苦しんでいた。だからこそ調布市でもペット霊園で都市再生を行ったのである。そのペット霊園の近所に調布教会はある。孫が自立するのを見届けるかのように拓哉や洋子の両親伊藤拓斗と伊藤美紀の容態が悪化した。二人はホスピスに入所することになった。原因は癌であった。

 闘病の最中に真哉は同級生と結婚した。リモートで伊藤拓斗・伊藤美紀は結婚式に出席した。その後、安らかに眠るように二人は亡くなった。


(天国で見ててねおじいちゃん、おばあちゃん。俺は牧師として頑張る)


 葬儀が終わると真哉はまっすぐ前を見つめていた。


 洋子は息子の巣立ちを見届けると大学院博士課程に再入学する。女性牧師として、女性スターレット有資格者への指導者としての研究を行うためである。六年かけて彼女も課程博士号を取得した。彼女の研究により女性牧師の育休中はリモートワークも促進された。男性中心の聖職者社会はこうして終わった。 


人は一生勉強と研究の積み重ねなのだ。


<終>

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