第十七話

 バイト代の稼ぎは運転免許代の資金になった。無事秋には普通免許を持つ事が出来た。学生って全然暇じゃない。こうして一年が過ぎた。特に語学が苦手な二人はギリシャ語、ヘブライ語に苦しめられた。二年からは司書課程も始まる。

 そんな時、大学本部から呼び出された。俺たち何をしたんだろうか……。話を聞くとどうも建築学部とのコラボであった。川本牧師が務める戸塚教会の隣の空き屋を図書館として改築することになった。土地の持ち主が空き屋を寄贈してくれたという。そして空家の改造をなんと建築学部生の実習として使う事になったのだ。元から空き屋問題が深刻な横須賀地区の空き屋を改造し、シェアハウスとして改造するプロジェクトを八景学院建築学部と横須賀市の間で行っている。今回は横浜市と八景学院のコラボ研究で行うというのだ。こうして川本牧師が見守る中空家の大改造が始まった。全体未聞の中古住宅から図書館への改造はニュースにもなった。もはやリフォームという枠を超えていた。建築事務所を運営し、当然1級建築士免許を持つ卒業生らも集まりデザインも含めて徹底的にコンペが行われ改造された。こうして出来上がった教会図書館は改造建築物とは思えない出来となり雑誌や新聞で報道された。


 「美しい……」


 「町づくりって、こんなに素晴らしい事なんですね……」


 空き屋だった空間が図書館となりスターレット資格者の勉強空間にもなり教会信徒の本を貸し出す場にもなった。スターレット資格の名門塾として有名だった戸塚教会はこうして教会図書館のある教会としても有名となり全国から視察者が殺到した。

 勤務先のペット霊園横に空き屋が生じた。この時も建築学部生と共にペット霊園の管理のための道具入れとして改造する事となった。さらには災害用備蓄倉庫も備える事となった。ペット用の非常用災害備蓄食料倉庫も完成した。こうして行政と連携を取る事にもなった。いつのまにかペット霊園の隣にペットカフェが出来た。猫に癒される日々。バイトが終わるとたまに寄る。まさにペット霊園によって町が出来つつあった証拠だった。もちろん、ここのペットカフェの猫たちも天国に旅立つときはペット霊園の共同慰霊塔に埋葬される。

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