第十六話

 大学生活が本格スタートした。バイト先は川本牧師が必死に探してきた。


 「ペット霊園の場所は足柄市だ」


 遠かった。戸塚からかなり遠かった。大学と自宅は歩いて行ける距離なのにバイト先は一時間半もかかる場所にあった。


 「知っての通り足柄市は少子高齢化で空き屋問題も深刻だ」


 「今度は橋本薫さんの育休代替職員になるよ。ただし、一年間ね。大学二年からはペット霊園のバイト先を紹介するのが難しくなっていく。めったに育休代替職員の求人なんて出ないからね」


 「はい……。がんばります」


 「小田原・箱根エリアは特に外国人観光客も多い。特に風魔忍者屋敷は大人気だ。お客の入りで困ることはない」


 「がんばってね。それと運転免許も今のうちに取っておけよ」


 (運転免許か……)


 授業が始まって教授から呼び出された。


 「君が噂の史上最年少スターレット資格合格者、君が女性史上最年少スターレット資格合格者だね?」


 「はい」


 「伊藤君、君が入試で一位。洋子さん、君が二位での合格だよ。わが神学部は君たちを模範学生として教育する。スカラーシップってのはそういう意味だ。意味わかるよね?」


 「えっ?」


 「パンフレットの顔になって欲しい」


 こうしてインタビューが始まり、インタビューの内容がパンフレットに載ったのであった。

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