第二話

 拓哉はただスターレット資格を取るだけではない。スターレット資格取得者を含めて、自分も含めて救うのである。だからと言って独りよがりでもいけない。

 親子はおもいきって教会に足を運んだ。

 イメージとは全く違った。ゲーム話をすると止まらない武藤紀子。音楽に没頭する阿藤慶介。そして何より驚いたのは会衆制と言って牧師であっても全員が民主主義にのっとって教会運営をしていくのである。


「驚いたでしょう」


 こう話すのは川本順二牧師だ。武藤紀子がチョコシューマイを作り上げてカフェをオープンさせる。武藤紀子は八景学院二年で経済学部生だがこの紀要軒とコラボでチョコシューマイを作り上げたというのだ。


「漫画置こうぜ、漫画」


とこう言いながら着たのは小山隆。みんな全くバラバラなのだ……。

 だが聖書研究会の時だけは真剣であった。そして教会の人たちは僕の為にスターレット受験用塾まで用意してくれた。


 「ごめんなさい……」


 泣く拓哉。


 「なんで泣くんだよ伊藤。別に俺たちは何もおかしいことはしてないぜ」


 小山隆はそういうとスマートフォンを取り出し『モンスターGO!』をやり始めた。


 小山隆は次の日曜日に聖書に出る人物のバトルカードで遊ぼうぜと言ってきた。こんなものがあるのか!


「俺のターン!」


 こうして父も俺も徐々に笑顔になっていった。俺はゲームでも聖書の勉強をしていった。いつのまにか。


◇◆◇◆


やがて父は言った。


「お前、洗礼受けてもいいぞ」


「……ありがとう」


 母美姫はその後家を手放す事、近くのアパートに引っ越す事、住宅ローンの返済分を差し引くとほとんどお金が残らない事を伝えた。


「私も、貴方も仕事を探さないとね」


 たしかに僕たちはマイホームは手放したけど俺たちは前を向いていた。

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