第十九話

キリスト教式のペット霊園はさらに進展を見せた。公立の動物園及び水族館は政教分離の観点からキリスト教式ペット霊園の設立及び動物の埋葬は無理であるが、キリスト教界は私立の動物園及び水族館の動物の遺骨を希望に応じてキリスト教式霊園に受け入れることにしたのだ。これにより特に動物園や水族館のスターとなったイルカ、シャチ、象、ライオンなどの墓を建てる事が出来るようになった。しかし、動物園や水族館の動物は「ペット」ではないので「キリスト教式動物霊園」として新たに建設し、どこの動物園もしくは水族館に所属し、いつ誕生し、いつ天国に召された動物かを西暦で明記したうえで墓を新設することとなった。宿坊も当然キリスト教式動物霊園に隣接している。

 キリスト教式動物霊園隣の宿坊に泊まると、動物園や水族館の割引チケットがもらえるようになる。お盆や彼岸の時期になると動物園職員や水族館職員が慰霊に訪れる。

 もちろん各私立動物園や私立水族館運営側がキリスト教式動物霊園ではなく仏教式動物霊園がいい、または直営で無宗教方式の動物霊園で動物が安らかに眠ってほしいという需要の方が大きいのは否めない。特にサファリパークの場合はサファリパークに併設された慰霊塔に遺骨を納める場合が多い。だが少なからずキリスト教式の動物霊園を選択する事業者が現れたのは特筆に値する出来事と言えよう。

 また当たり前の事であるがすべての動物の遺骨を墓に納めることは出来ない。一般の動物の遺骨は共同慰霊塔に収める。あくまでその動物園、水族館にとってスター級の動物を個別の墓として設立し遺骨を収めることになっている。

 共同慰霊塔はカトリックの場合天使像があり、その下で動物たちは安らかに眠っている。プロテスタントの場合は十字架となる。

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