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期末考査が終える頃、紗英から
「ミミ 3月の25日辺りから、合宿あるんだって お兄ちゃんのサッカー部 その時に、水泳部も合宿するそうよ 今は、自転車で旅してるみたいだけど、多分、合宿には、その一棟さんも来るだろうって」
「ウフー 紗英 ありがとう 私 押しかけてみるネ 大学の中でだよね?」
「ウン 大学の合宿所だって 朝昼晩は傍の食堂だろうって」
「そうかー 25からネ」
そして、私は、大学の構内に恐る恐る入って行った。グラウンドの方に行くと、端っこの方にプールが見えた。手を結んでくれて、岬も付き添ってくれていたのだ。柵越しに練習している人達が居て・・・見えた・・多分、あの人。想いあこがれた人。胸あたりも黒く光っていた。だけど、声も掛けようにも、遠くて柵越しなので、しばらくはその練習している光景を眺めていた。
私達は、お昼で練習が終わるのを待っていて、あの人が更衣室から出てくるのを待っていて、数人の人達と連れ立って出てきた。その時、横から声を掛けたのだ。
「あのー」声がまともに出なかった。不思議そうな顔をして全員がこっちを見ていたのだが、そうしたら、一緒に連れ立って歩いていた女の人が
「あぁー 菜の花畑見に来たのー この垣根の向こうっけだよー あそこを右に行ったところ」って。そのまま、なんでもなく、又、連中と話をして行ってしまった。ここは、菜の花畑が広がっていて、時々見に来る人が居るみたいで、それと間違われたみたい。
「なんなのー 無視されたみたいだねー」と、岬も言っていたけど
「だよねー 一倉さんにも気づいてもらえなかったみたい こっちをしっかり見たと思うけどなー 私 髪の毛短くしたからわからなかったのかなー」
「ミミ もう一度 戻ってくるの待とうよ そしたら、しっかり伝えるのよ ミミの想い ここまで来たんだから思いっきりぶつかっていくんだよ」
1時間近く人の居ないプールを眺めながら過ごしただろうか、戻ってきたみたいだった。私は、決心して、一倉さんの前に歩み寄って
「こんにちは 私のこと覚えてくれています? 石山寺で・・」
「・・・あっ あー あの時のー 髪 短くなった? いゃ 雰囲気違うから あのクローバーのパンツの子かー 可愛かったよね」
「あっ やっぱり あの時見たんだー 私のお尻触ったくせにー」
「いゃ そのー つもりはなかったんだよー うん なんで、ここに居るのー?」
「探したんですよー 一倉さんのこと でも本当は一棟さんって言うんですか?」
「うん バイトの時は名前 変えているんだ よく わかったね」
「私 あれから・・一棟さんのことが忘れられなくって 好きなんです だから・・お友達でもいいから・・お付き合いしてください」
「うっ おどろいたなー いや 君みたいな可愛い娘からなんて 光栄だなー だけど、僕は 我儘だから・・今までも、いっぱい振られて来たんだよー 君も耐えられないと思うよ」
「かまいません 私 一棟さんとなら・・ 私 恥ずかしいけど・・男の人を好きになったの初めてなんです だからー・・」
「わかった 君みたいな可愛い娘 僕のほうからもお願いしまーす イャ うれしいよー」
「ミミ 良かったね 待った甲斐あったネ」と、岬が駆け寄ってきてくれた。
「あっ 君は あの時のグループだ クールな美人」
「そうです でも 一棟さんって 以外と軽いネ そんな言い方」
「いゃ 正直に言っただけだよ」
その後、私は連絡先を交換して、4月の第2土曜日、初めてのデートの約束をした。その夜、私は夢心地でお風呂に入っていて、あの人が我儘だからって言っていたことを考えていた。だけど、岬だって、たいがい我儘だよね。そんなのに親友してんだから、大丈夫よって 軽く考えていたのだ。
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