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 そして、その年の冬、休みに入る前にスキー教室が群馬の片品高原で2泊3日の講習があった。私達は、去年に続いて2回目で、なんとか仲間と滑れるようにはなってはいた。


 相変わらず、私達お嬢様クラブのメンバーで滑っていると、付き添い添乗で来ていた旅行者の人が、斜面の途中で近寄ってきて


「君達はいつも一緒なんだネ 仲がいいんだ お昼なんかでも、集まっているネ」


「あっ 添乗員さん スキー お上手ですわネー」


「まぁネ 長野の白馬出身だからネ 子供の頃からやっている」


「ふーん だからか ねぇ 私達に教えてよー もっと 恰好よくシャーシャーと滑りたい」


「そーだなー まず 怖がっていてはいつまでもそのまんまだよ 腰を伸ばして、両手を広げて前を見てな こう 後ろから付いてきてごらん」と、滑りだした。私達もマネをして後ろからついていった。何とか、転ばないで下まで降りることが出来たのだ。


「すごーい 転ばなかったのって初めてー」と、私が紗英と感激していると


「後はね いつでも止まれるって練習 そうしたら、転ぶ前に止まればいいんだから そしたら、テッペンから平気で滑ってこれるようになるよ」


「すごーい じゃーぁ 止まるって練習 教えてー」


「うーん ちょっとだけネ 後は、君達だけで練習しておいてー 僕は、パトロールしなきゃぁなんないから 先生から叱られるからネ」


 私達が中腹で練習していると、又、見に来てくれて


「どう? 上から見ていたけど、だいぶ上手になったじゃぁないか みんな」


「ウン 添乗員さんのお陰」


 すると、岬が


「添乗員さん 団体の付き添い多いんですか?」


「そうだね 団体旅行とか修学旅行なんかも」


「あのー 会社が違っても、添乗員さん同士、知り合いなんかも・・」


「そーだね 同業同士のつながりは多少はあるなー」


「添乗員さん 営業所 大宮でしょ? 同じ大宮のK社の一倉さんってご存じないですか? 私等の修学旅行の添乗してくれたんです」


「ウーン 聞いたことないなー 幾つぐらいの人?」


「二十歳超えたくらいかなー 顔がかなり日焼している」


「あそこの会社はね 添乗にかなり大学生のバイトを使っているんだよ 大きな学校の時は、社員とバイトって時もあるけど、小さい学校の時は、経験積んだ大学生が一人の時もあるようだよ」


「えぇー 大学生!? ・・・?? だってさー そんなのー ミミ 聞いた?」


「ウン 聞いた!」


「君達の時は、その人以外にも添乗の人いたろー?」


「ええ 先輩みたいな人が居た 少し、年配の人」


「じゃー たぶんネ その人はバイトかなー あんまり、他の会社のこと わからないけどネ」


 そして、その夜、私と岬はいろいろと仮説を立てていった。だから、夏の旅行を申し込みに行った時も、対応してくれた女の人がはっきりしたこと言わなかったのだ。そして、一つの結論を仮説Ⅰとして導きだしてみた。

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