1-6

 秋になって、初めての大学受験の統一模試があった。


「ねぇ みんなー 志望校どこに決めてるのー」と、紗英が聞いてきたら、真っ先にアカサが


「私 京大にする だってさー 修学旅行で行った時 素敵な街だと思ったんだものー 一度 暮らしてみたい」


「ふーん それだけ?」と、紗英が疑わしい言い方をしていた。どうも、夏に出会った人とお付き合いを始めたようなのだ。だから、彼が地元に帰るって言っていたんで・・カナ。


「紗英はどうすんのよ」と、私が聞くと


「ウーン 地元の大学になるカナー 他のとこに行く理由がないものー 家から通えるしネ お兄ちゃんも行ってるしー ねぇ ミミは?」


「決めてないワ だけど、できればバイオワクチンなんか興味あるヨ 未知の感染を予防するの それとか、農業漁業の人達にプラスになることとか勉強したい」


「わー すごーい 野望 ねぇ 岬は?」


「私は決めているわ お茶の水女子大 食物学科」


「えぇー 岬 お茶の水? 東大ちがうのー?」私は、岬は学年でもトップクラスだし、当然、東大をめざすと思っていた。


「ウン 女の子だけのほうが気が楽と思ってネ」


「だって 女の園って ジェラシーとかが渦巻ていていて、オドロオドロしてるかもよ お嬢様にはなじめないかもー」と、紗英が茶化すように言っていた。


 二人だけになった時、岬が


「なぁ ミミも一緒に行こうよー」


「うっ 大学かぁ? ミミには無理だよー お茶の水なんてー 岬はトップにいるから、大丈夫だろうけどー 私なんか トップテンにも入られないんヨ」


「知ってるよー ミミ いつも数学のテスト 最高点取ってるって 先生から聞いたでー」


「うーん 数学だけだよー あとはボロボロ」


「一緒に勉強していけば行けるよ まだ、1年あるから なっ ミミと一緒の大学にいきたい」


「うっうん やってみるけどー あそこってお上品な人が行くってイメージあるもんネ 私も岬と一緒に居たいからなー 親友やしー 一倉さんの時も一緒に探してくれたからな」


「・・・まだ 忘れてなかったんかーぁ?」


「ウン 時々ネ 想いだす」


「まぁ 良い感じの人やったけどなー 本当にミミは純真なんだねー そんなに想うなんて あの人も罪な人だよね こんなに夢中にさせるなんてさー」


 その後、私と岬は美容院に行って、私は岬に併せるようにベリーショートカットにしていた。だけど、岬はもっと短くして、刈り上げにまでしていたのだ。


「ミミを男に取られるのって 嫌だからネ」


「やめてよー 岬 ミミは岬のこと好きだけど、そんな趣味ございませんからね」


「うふふっ じよーだんよ だけど ミミのことは包み込んでいきたいよ」

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