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修学旅行から帰っても、あの時にもらった四つ葉のクローバーをみつめながら、私はあの人のことが忘れられなかった。「可愛らしくて君に似合うよ」という言葉を思い出しては、思わず ニッとしていた。そして、肩を貸してくれた時のあの人の逞しくて温かい腕のぬくもりも・・。
次の登校日に岬に会った時、
「ねぇ 熱冷めた?」
「うゥ? 熱なんか無いけどー?」
「だからー 恋の熱よ」
「あっ アァー 岬には白状するけど 忘れられない 見てー これ あの時もらったんだー」と、私は、大切に手帳にはさんだクローバーを見せた。
「あーぁー 重症かぁー あのね アカサが石山寺で撮ってくれた私とミミのツーショット 送ってくれてるでしょ 見た?」
「ウン 見たけど ・・???」
「ちゃんと 見たの? これ! ほらぁー 後ろのほうで一倉さんが大きく手広げて深呼吸してるとこ映ってるでしょ!」
「あっ ほんとだー 気づかなかった」
「あのね だから、この写真を一倉さんにも送ってさー 告白の手紙と一緒に 付き合ってください あなたのことが忘れられませんって書いちまいなょ」
「えぇー そんなことするのー?」
「だって なんかしなきゃー 会えなくなるよ とりあえず、アタックだよ」
「でもなー 告白の手紙? ・・・」
「それが出来ないんだったら 一層のこと 会社に会いにいくかー 付き合ってやるよ」
「ダメ ダメ そんなあつかましいのー 嫌われちゃうよー」
「嫌われたら、あきらめつくかもよ」
「岬 ひとのことだと思ってー 簡単に言うねー」
「そんなことないよ 親友の恋だから、なんとかって思ってんのよ」
結局、私はもらった写真とともに手紙を書いて、女の子らしい封筒を選んで、会社宛に送った。(就学旅行の時に、足を捻ってしまってご迷惑を掛けてしまって大変お世話になりました。とっても親切で温かい人だなって感じました。厚かましいお願いですが、もしよろしければお友達になっていただけたら、すごくうれしいのですが よろしくお願します)
だけど、1か月待っても何の返事もなかったのだ。やっぱり、私のことなんか、なんとも思ってないよね。ただのお客さんの一人なんだー。
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