第7話
その日の夜――静まる気配のない猛りを鎮めるため、灯りを落とした自室でアダルトビデオを眺めていた。
僕も年頃だし、その類は両親の目を盗んで幾度も目にしたことがある。というか、「自分を確かめるため」に人より多く見てきたのかもしれない。
四角い画面の中で男の欲望を満たさんと女優が様々なシチュエーションであられもない痴態を晒している。それを冷静に眺めては何度も下半身を確認するも、今日も変わらずうんともすんとも言わなかった。
なんなら野村くんと視線があったときのほうが何倍もドキドキして下半身はいきり立っていた。
自分を知るために数百は鑑賞してきたであろう世界の中に僕が探している答えはついぞ見つけることは叶わなかった。高校一年生にして、性の袋小路に嵌ってしまうとは夢にも思わなかった。
この狭い世の中の大半を占める「正常」から、一歩でも踏み外すと「異常」のレッテルを貼られる世界。息苦しくないわけがない。つまり不良達が言っていた通り、普通ではないから変態とも呼べるのではないか。
世間の価値観に当て嵌めればそういうことになるのだろうけど、あまりにも無味乾燥な単語に納得ができず、この気持ちにさてどんな名前を付けたらいいのか手あたり次第に辞書やネットで調べたけれど、やはり明快な回答はどこにも記されていなかった。
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