第二章「エキセントリックホテル同棲生活」
第13話「ホテルで同棲生活!?」
「で、でも、俺たちの住む家に一緒ってのは無理ですよ……両親は北海道に赴任してますけど……って、そういう問題でもないな……あと、すでにファンたちから住所が特定されてるみたいだし」
そして、菜々美の住居に一緒に住むというのも無理がありすぎる。
それこそ写真週刊誌の記者とかが張りこんでて餌食になりそうだ。
「それでもわたし絶対にしゅーくんと一緒に住む! 絶対! それが絶対条件ー! そうじゃないともうアイドル活動しないーーー!」
菜々美は駄々をこねる子どものように強情だった。
というか、絶対に精神年齢が小学生並である。
「ふぅ~……なら、折衷策を出しましょうか~。これまで菜々美ちゃんを働かさせすぎていたことは事実ですからね~。ここは譲歩します~。ただ~、警備上の問題もあるのでホテル暮らしでお願いしますね~。もちろん、妹さんもご一緒でオーケーですから~♪ 通学については、学校の近くまで毎朝車で送りますので~」
なんだと……。俺たちのような庶民がホテル暮らしだと……?
俺たちだけじゃなくて瑠莉奈もというのは太っ腹だ。そもそもこんな状況で瑠莉奈を家にひとりで置いておけないもんな。
「…………おにぃ……この条件を飲むべき……瑠莉奈、ホテルで暮らしてみたい……」
無感情に見えるが、強い意思のこもった瞳で俺に迫る瑠莉奈。
妹は陥落した。現金な妹だ。
「むぅう~、瑠莉奈ちゃんも一緒だとしゅーくんとのイチャラブに制限がかかるよぅ……でも……しゅーくんと一緒に住めるのならホテル暮らしでもいっかぁー」
俺の意思を抜きに話が進んでいっている。
でも、家事だとかなんだとかそういうものがないのは魅力ではあるかもしれない。
「とりあえず一か月、お試し期間ということでどうでしょうか~?」
俺が悩み始めたタイミングで、ニコニコ顔で迫る神寄さん。
「……うーむ……ま、まぁ……そういうことなら……わかりました」
結局、俺は承諾することにした。
それが現状では最善の選択だと思ったのだ。
「わぁあぁー♪ しゅーくんと同棲~♪」
「……ホテル暮らし……楽しみ……」
菜々美は歓声をあげ、瑠莉奈も静かに微笑んだ。
「やれやれですね~。とりあえず、これで方向が決まりましたね~。あとはいろいろと後始末をやらないといけませんが~、わたしたちがなんとかしますので~」
昨日今日で激動すぎる。
人生はいつどこでどうなるかわからないな。
「わーい♪」
体操着&ブルマ姿で万歳して能天気に喜ぶ菜々美を見ながら、俺は未だに現実感を持てずにいたのだった……。
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