第4話 告白

 彼女はかわいいから、多分男絡みだと思った。DVで無理矢理働かされてるとか、そういう筋書きだ。


「実は・・・」

「うん。相談に乗るからさ」

「恐喝されてるの」

「どんなふうに?」

「実は私、友達を殺したの」

「え?」

「団地の屋上に呼び出して、突き落として殺したの」

「え?」

「ムカついたから・・・」

「いくつの話?」

「17くらい」

「誰かに見られてたの?」

「うん。私が屋上に呼び出したことを、その子が他の子に話してて、危ないかも知れないって見張ってたんだって。私、それに気が付かなくて、一緒に死のうって言って、その子をフェンスの外に立たせて背中を押して突き落としたの」

「何で?」

「彼氏を取られたから」

「でも、彼氏の元カノと一緒に死なないだろう?」

「その時はもう別れてて、ずっと相談に乗ってたの。その子、ノイローゼになってて・・・死にたいって言ってたから」

「でも、見られてたかもしれないけど、証拠がないだろ?」

「ビデオ撮られてた」

「すごいね。もともと、そのつもりだったんじゃないの?きっと、想定内なんじゃない?つまり・・・君がその子を殺すんじゃないかって、みんな思ってたとか・・・呼び出したのが屋上だしさ。サスペンスのラストみたいじゃん?」

「うん」

「なるほど。それから、ずっと揺すられてるんだ。警察行きなよ。突き落としたんじゃなくて、一緒に死のうとしたけど、怖くて飛び降りられなかったって言えばいいよ」

「うん」

 彼女は頷いた。

 俺は彼女が怖くなって、何もしないで帰ってきた。プレゼントを渡すのも忘れていたほどだった。


 俺はそれ以降、自分から彼女に連絡することはなくなった。彼女からは時々連絡が来たが、その時は普通に話していた。


「会いたいなぁ。もちろん、お店じゃなくて」

 彼女は毎回言ったが、何度誘われても、俺は会わなかった。人を殺すような人は、何をするかわかったもんじゃない。

「早く、警察行きなよ」

 俺はメールを送った。結局、それっきりになった。

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