第12話
瞬が何かを言ったと思って振り向いた。
「ベーシストとし俺をバンドに入れてくれないか?」
瞬の目は真剣そのものだった。
「ああ、いいよ」
俺も本気で返した。
「よろしく」
こうして、バンドメンバーに瞬が加わった。
家に着いた俺は阿久戸に連絡を入れた。
「瞬がバンドに加わった」
「最高だな、後はドラムだけか」
「ドラマーは俺に任せてくれないか?」
「誰かあてでもあるの?」
「ある」
「分かった」
それだけ伝えて俺は電話を切った。
俺は昔、じいちゃんの家にあった古いレコードに引かれた。
あの時の気持ちは今でも覚えている。
あの日、じいちゃんの家で聴いた音楽に心を奪われた。俺はもう一度同じ音楽をやりたい。
その為に俺はこのバンドで、新しい音を鳴らしたい。
俺はあの日聴いた音を思い出しながら眠りについた。
翌朝、俺は阿久戸との待ち合わせの場所に向かった。
「おはよう」
「おはよ」
「昨日の件だけど、俺の知り合いで一人当てがある」
「本当か?」
「あぁ、だから今日の練習は無しで良いか?」
「良いよ、じゃあ明後日で良いか?」
「大丈夫」
「じゃあ明後日な」
「おう」
俺と阿久戸は学校へと向かった。
教室に入ると、瞬が席に座っていた。
「おはよう」
「あぁ」
「昨日はありがとな」
「別に良いよ」
「今日もよろしくな」
「おう」
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