第8話

中学三年の冬、私達の最後のライブが行われた。

会場は満員だった。

演奏が終わり、舞台袖に戻ると瞬が泣いていた。

俺も涙を流していた。

他の二人も同じだったと思う。

「終わっちゃったね」奏がそう言った。

「そうだな……」隼人が返事をした。

奏は親の転勤の都合で東京の高校に行く事が決まっていた。

俺達は受験が終わった後にその話を聞かされた。

瞬が最後にライブをしてから終わりにしようと言った、ライブも今終わりを迎えた。奏はギターを持ってステージに立った。

観客達はみんな静かに奏を見ていた。

「今日は私の最後のライブに来てくれてありがとう」

そう言って、曲が始まった。

それは、俺達の曲ではなく、彼女の作ったオリジナルの曲だった。

俺達のバンドが解散する前に彼女が作曲したものだった。

俺達の演奏に合わせて作られたこの曲を初めて聞いた時は感動した事を今でも覚えている。

この曲は、俺達にとって特別な曲だ。

そして、このライブを境にバンドとしての俺達は終わったのかもしれない。

歌い終わると大きな拍手が起こった。

「アンコール!アンコール!」と叫ぶ人もいたが、それを制止したのは瞬だった。

「本日はありがとうございました!これをもって最後になります!」と大きな声で言うと、観客席からは溜息の様な声が聞こえた。

「皆さん、これからも音楽活動頑張ってください!応援しています!」瞬に続いて4人共、頭を下げた。

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