第2話止まっていた時間が動き出す

他の声も混じっていた。

 周りを見渡すと、全員と目が合った。

 

「お前達も同じ事思ってたのか?」

 

「いや、俺は奏に誘われたから」

 

「俺はあの時の解散が正しかったか……今でも迷ってる、だから奏が誘ってくれて嬉しかった」

 

 瞬は話しながら泣いていた、でも悲しくて泣いているのではないと分かる。

 俺の気持ちも同じだ。

 

「バンド再結成だね」

 

 奏は笑って、とても嬉しそうだった。

 

「また始めるとして、グループ名はどうする?」

 

 全員すぐには、思いつかなっかた。

 

「名前は明日までの宿題、みんな1つ考えて来ること」

 

 みんな頷いた。

 

「このバンドの目標はみんなで武道館に行くこと!」

 

「目標って必要か?みんなで楽しく音楽ができれば良くないか?」

 

 隼人が何を言いたいかは良く分かった、俺も同じ意見だった。

 しかし、奏は首を横に振った。

 

「絶対に武道館へ行く!そうしないと……私達の時間は動き出さないよ」

 

 俺は何も言い返せなっかた。――いや、俺たちは何も言い返せなかった。

 

「今日は私もう帰るね、明日また連絡する」

 

 奏はそう言って帰って行った。

 

 ――俺たちは何も言葉を交わさず各々帰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る