春の音
遠藤 円
第1話始まりの季節
四月五日
私はいつもの日常がどれ程大切か今分かった。
今日は出なくては行けない用事があったが……とても行く気にはなれなかった。
全ての事がどうでも良く感じてしまった。
鳴り止まない携帯がとても煩わしく感じてしまい、川に投げ捨てしまった。
「桜の咲く春が嫌いになりそうだよ……」
この日から私は今迄一番好きだったものが、見たくもない程嫌いになった。
***
四月四日
もう絶対に顔を合わせる事が無いと思っていた、メンバーが集まっていた。
今日呼び出された時から嫌な感じはしていた。
「皆集まってくれてありがとう」
彼女からの連絡で、来ない奴はこの中には誰一人として居ないだろう。
「今日連絡したのは……今日だったら絶対皆が来てくれると思ったから」
去年から四月四日の予定はもう決まっている。
俺以外の他の皆もそうだろう。
「私と一緒にバンドして下さい」
頭が真っ白になった。
何を言っているんだと思ったが、考えるよりも先に言葉が出てしまった。
「バンドしよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます