銃と冒険者ギルド

 銃をばらまいてから約半年その効果が表れた。


 「ヒース様予想通りに様々のところで虫が大量発生しています。やりました。」

 「やったなミリア。」

 「はい!」

 「まて、虫が大量発生することの何がいいんだ?」


 報告が入ったのが丁度食事時だったのもあって隣に父がいる。


 今回の計画そいえば父に詳しく説明してなかったんだよな。ここで説明するか。


 「父様、まず今回の大量発生の原因から説明いたしましょう。」

 「理由からわかっているのか?」

 「はい。今回の大量発生の根本には半年ほど前に売り出した銃と冒険者ギルドの関係にあります。現状の冒険者ギルドのシステムには領主側が魔物の討伐量を管理できない、討伐難易度の急激な変化に対応できないという欠点があります。今回はそれを突きました。」

 「なるほど銃の普及で急激に討伐難易度が下がったというわけだ。しかしそれと虫の大量発生に何の関係が?」

 「銃の普及で急激に討伐難易度が下がった、そして討伐難易度が下がった分だけ魔物も大量に討伐されることになります。討伐されれば増えるのは今まで魔物によって数が抑えられてきた虫といった食物連鎖の下に立つ生き物たちです。そうした生き物は大量発生します。」

 「しかし虫が大量発生しても何の問題もあるまい。」

 「いえ虫の大量発生は大問題です。簡単に言うと農作物が食い尽くされます。あぁこの領地は大丈夫ですよ。しっかりと農薬を使って対策してあるので。この大量発生で国内の大半の農家は壊滅。大規模な飢饉の発生です。」

 「まて人が死ぬようなことをするのは許さんぞ!」

 「安心してください。幸いに現在わが家には大量の食糧備蓄があります。さらに言えば我が領は飢饉の被害を受けていません。したがって我が領だけで飢饉を抑えることは可能です。ですので死者が出るようなことにはなりません。」

 「それは安心した。」

 「売るとはいってもかなり高価には売りつけます。これで各領主からお金をむしり取ることが出来ます。当然、今後わが家に協力してくれるという貴族には安く売りますけどね。これで最近の食糧が余り気味であった問題が解決します。それと同時に領民に対してイージル領に来るように働きかけます。食料の価格が安く、仕事もある多くの人はおそらくイージル領に来ることを選択するでしょう、これで慢性的な人不足も解消します。さらにこれによってほかの領主は貯えだけでなく将来的な収入も減らすでしょう。」

 「ヒース、そんなに無茶苦茶やって王家から咎められないのか?」

 「安心してください。今回の一軒でわが家の影響力は王家を超えたので。」

 「王家を超えた?」

 「王家は今まで国内最大の都市である王都を領有していること、最強規模の軍隊、魔物対策方法である冒険者ギルドを持っていたことによってその影響力を確かなものにしてきました。しかし今回その強みは完全に崩壊しました。まず国内最大の都市は王都からイースル領の領都であるマルクになります。次に最強の軍隊も銃による完全装備をしているわが軍に。当然冒険者ギルドはもはやお荷物です。更に言えば下手なことをすれば王都の民が銃を持って暴動を起こすのでもはや王家はこれまででしょう。」

 「さぁ王家も気にする必要はなくなったところで早速行動を始めます。行くぞミリア。」

 「はい。」


 正直に言ってここからはかなり忙しい。なんたってこっち側に引き込んでも大丈夫な貴族の選定をしなければならないからな。

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