結局あの後国王に文句を言わずにイースル領まで帰ってきてしまった。


 一応アポイントを取ろうとしたのだが断られてしまったのだ。息子を気絶させてしまったことを根に持っているのだろうか?一応書簡でも送ろうか?


 そんなことを気にしながら領主の館で政務をこなしていると朗報?が入ってきた。


 「ヒース様、朗報です!なんと冒険者ギルドが今の10倍の金額を支払わなかったらこの領地から立ち退いてくれるらしいです。」

 「いや、ミリア一応俺たちにとって見たら朗報だけどいきなり冒険者ギルドが立ち退くのは一般的には朗報にならないだろ?」

 「そうでうすか?」

 「それにしても、なんでまた突然そんな要求を?」

 「どうやら王家が圧力を冒険者ギルドに掛けたようです。」

 「なんでまた急に?」

 「おそらく誕生日パーティーでのことが原因かと。」

 「あぁなるほど。」


 なんとなく納得すると同時に怒りがこみあげてくる。


 前世ではあくまで伝記のために反政府運動をしていたが、独裁者のこういう勝手な行動が嫌いだったのは確かだ。

 

 やはり、権力が1点に集まると腐り始める。ここは王家には影響力を一気に弱めてもらおう。


 「ミリア、とりあえずカブさんを始めとした商人および冒険者に集まるように通達しておいて。」

 「分かりました」



 冒険者たちと商人が集まってきた。


 場所は内容の都合もあり中庭だ。


 「皆さんお集まりいただきありがとうございます。それでは本日お集まりいただいた理由を説明させていただきます。まず最初に冒険者ギルドはこのイースル領からなくなります。」

 「どいいうことだ?」


 冒険者を中心に困惑の声が広がる。今まで冒険者ギルドはあるのが当然だったのだ。それが突然なくなるというのだ理解が及ばないのも当然だろう。


 「簡潔に言うと冒険者ギルドがこの町から出ていくと言い出したのです。そこで今日はその代わりとなる組織を立ち上げることにしたので、その協力を求めるために皆さんに集まっていただきました。まず今回作る組織、対魔騎士団と冒険者ギルドの違いについて説明します。まず対魔騎士団のメンバーは基本的には扱いが領主の持つ騎士団となります。つまり基本的には解雇があらず入団に際してはテストも行います。それと基本的には給料も冒険者である時よりも高くなります。さらに仮に事故死してしまったとしても家族に対してあなたの死後数年間はお金が支払われることになります。つまり今まで冒険者が結婚を敬遠されていた理由の一つである生計が安定しないことが解消されます。つまり持てるようになります。」

 「うぉー!」

 

 この発言に冒険者たちは沸いた。


 冒険者という職業はそのリスクが目立って結婚を避けられる傾向にあったがそれが解決するのだ。特に若者にとってこれほどうれしいことはあるまい。まぁ冒険者との結婚が避けられているのはそれだけが理由ではない気がするのだが...


悲しい現実を知り彼らが絶望しないことを祈っておこう。


「さらに対魔騎士団には一律でこの武器を支給する。」


そういいながら俺は銃を取り出す。


火薬を完成した時点で一応作れはしたのだ。しかし安全性の確認で遅れ、前世で銃殺されたこともあり本当にこの世にだしていいのかと悩み、しかし魔物の影響で命を落としている人の数の多さを見て思い直し、今度は世に出した時の経済などへの影響を考えようやく世に出すことが出来たのである。


 「ミリア、頼んだ。」

 「はい」


 ダァーーン


 「おぉ」

 「今回商人の方々に集まっていただいたのはこの銃の大量生産に向けての出資のお願いとこの銃を販売する商人の決定のためです。この銃という兵器は御覧のようにとても強力です。だからこそこれを悪人に渡すわけにはいきません。そこである程度これを売る商人を絞りたいと考えています。あっ、当然出資額に応じてそれなりの配慮はしますよ。ではまずは出資金額を決めていただいてそれから選定に入りましょうか。冒険者の皆様で対魔騎士団の方はミリアの方に行ってください。商人の方で出資してくださる方はこちらへ。」


 これで出資は集まるだろう。そもそもここにいるのは信用のおける厳選した商会だけだ。とりあえず出資だけしてもらったら一定額出資してくれたとか理由をつけて全員に販売しても問題ないわけだ。今回は銃を広めることが一番大事だからな。


 さぁ準備は整った。あとは待つだけだ。

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