見えぬ未来(ミリア視点)
私、ミリアにとって未来は暗すぎて見えないものだった。
私は男爵家の出身だ。幼いころから音楽、絵画などの才能を親に期待されて毎日みっちりと練習させられながら育てられた。
しかし、私には音楽、絵画などの才能は全くなかった。
いや全くなかったというと誤解を生むだろう。正確に言うとどれも人並みにはできた。しかし親の期待している水準にははるかに及ばなかった。
次第に私は家では出来損ないで、いないものとして扱われるようになっていった。
そんな私に代わり親の関心は1つ下の妹に向けられることになった。
妹は私と違って才能があったのだろう。音楽の先生にも絵画の先生にもよく褒められていた。
そんな私も12歳になり学園に通うことになった。
学園では音楽、絵画以外の才能を期待して魔法、剣術、算術、経済、交渉術、経営術、とにかくやれることは何でもやった。
しかしそんな私の努力をあざ笑うかのように結果はどれも凡才という他ないものだった。
なんの才能も見つけられないまま三年の期間を終え卒業の時がやってきてしまった。
普通貴族であるなら在学中に婚約者を作り卒業後すぐに結婚するものだが、1日中図書室にこもっていた私に恋仲になる人がいるわけもなく、両親は私の存在を忘れでもしたのか私の婚約者を見つけようともしなかった。
この時は貴族として最低限の責務すら果たせないのかと落ち込んだ。
しかし、落ち込んでいるわけにもいかない。
家族は15歳となり成人した私を家に置こうとしないだろう。結婚できないなら何か仕事を探さなければならない。
才能もないコネもないそんな私に仕事が決まるわけもない。
そんな私を拾ってくれたのがイースル家だ。
イースル家は学園でだれでも努力さえすればとれるような成績でもメイドとして採用していた。
いざイースル家に行くとなると家族は「くそみたいなど田舎で一生結婚も出来ずにメイドとして終えるんだろう。なんの才能もないお前にふさわしい末路だな」と言っていた。
そんなイースル家で私が出会ったのがヒース様だ。
ヒース様は私なんかとは違って天才だ。
ヒース様の手にかかればどんなゴミすらも光り輝く宝に変えてしまう。
そんなヒース様に負けないように私も必死に働いた。
しかし、ヒース様の隣にいればいるほど本当にヒース様の隣にいるのが私がいいのかという疑問がわいてくるのは自然なことだったろう。
当時の私は相当悩んでいたのだろう。こんな聞かなくてもいいことを思わずヒース様に聞いてしまった。
「俺とお前2人合わせて天才だ。」
ヒース様はこう言ってくれた。
この言葉は私の心をまるで太陽のような強い光で照らすようだった。
今、私、ミリアにとって未来は明るすぎて見えないものだ。
ヒース様は私には努力するという強みがあると言ってくれた。
これからも努力し続けようヒース様と共に歩み続けるために。
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というわけでこれにて第一章「英雄の目覚めと奴隷解放」は終了です。
読者のも皆さんにお願いがあるのですが内容は何でも良いのでレビューを書くか、応援メッセージください。最悪、星1+悪口とかでもいいので。読者の反応がないと面白く書けてるのかそうでないのかわかりずらいんですよね。
そういうわけでよろしくお願いいたします。
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