英雄の目覚めと奴隷解放

 あの会議が終わり1か月ほどが経った。


 奴隷解放は驚くほど順調に進んだし、すでにイースル領周辺での盗賊被害は減り始めている。


 ちなみに犯罪を犯して奴隷になった者たちは新たに刑務所を作り上げて「ダイナマイト」などの製造をさせている。


 経済の方も順調だ。やはり新規まき直しニューディール政策の効果は大きいようで町は賑わいを見せ始めている。このままいけば我が家が独占して行っている「ダイナマイト」の製造と合わせて我が家の財政は大きく黒字に転じるだろう。


 そんなこんなで順調という以外にない1か月を過ごしたわけだが、今日なんと父の執務室に呼び出された。父は公的な仕事以外では執務室を使うことはなく、今までの父との会話は全て食卓ないしは稽古場としている庭で行われており、執務室に呼ばれるのは今回が初めてだ。


 こんなとき何かやらかしたのかと考えてしまうのは前世でいい理由で呼び出されたことのないものの性分さがなのだろうか。


「コンコンコン」

「ヒース入っていいぞ。」

「父様、失礼します。」

「今回の奴隷解放の件かなりうまくいったな。」

「はい。自分でも驚いております。」

「そこでだヒースお前に内政関係の仕事をすべて受け継ぎたいと思っているのだがどうする?」

「全部ですか⁉」


 正直これには驚いた。今回の一軒で大成功を収めたとは言え所詮まだ6歳児の俺に内政関係全部を任せるのは普通はあまりにも危険かつ無謀ではないだろうか。


「お言葉ですが父様。僕はまだ6歳児です。さすがに内政全部は危険すぎます。」

「あのなぁ。奴隷解放なんてことが出来るやつを子供というのはあまりにも無理があるんだよ。それに今回内政を全部任せるのはお前が領主になる日までの練習だ。仮に何か失敗したとしても俺が全部の責任を取ってやる。」

「わかりました。」


 あまりにも父の言うことが正論過ぎて反論できず、思わずうなずいてしまったがまぁいいだろう。奴隷解放のほかにも色々やりたいことはあるのだ。それに責任は父がとってくれると言っていた。正直前世の記憶こそあるが前世で成功していた方法がこっちでも成功する確証は持てない。仮に失敗しても父がいるなら安心だ。


「失礼しました。」

 

 執務室を出るとミリアが俺のことを待っていた。おそらく「ダイナマイト」関連の連絡だろうか。


 「ミリア、これから俺はこの領土の内政関連の仕事のトップに立つことになった。これからもよろしくな。」

 「あのぉ~ヒース様これからも本当に私でいいんですか?私よりももっと優秀な人はいっぱいいます。そういった人に変えたがいいと思うのですが。」


 ちょっと待ってよ。

 

 なんでミリアってそんなに自己評価低いんだ?正直ミリアほど優秀な人物を俺は片手で数えられるレベルでしか知らない。あのカブ商会の代表を何とか説得して呼び寄せたのもミリアだ。この感じだと過去に何があったんだろう。


 「なぁミリア。確かにお前には自分から何かを作り出したりする才能はないかもしれない。だけど重要な事はそこじゃない。正直、今回の奴隷解放はお前なしじゃ成し遂げられなかった。『天才とは、1%のひらめきと99%の努力である。』こんな言葉がある。お前はその努力のうちの90%を瞬く間にうめてくれる。1%のひらめきは俺が出す、俺とお前2人合わせて天才だ。これからもよろしくな、ミリア。」

 「ぐす...いいんですか、ヒース様?ずっと一緒にいますからね。」

 

 なんかミリアが泣き出してヤンデレみたいなことを言ってるがこれでよかったのだろう。


 ここから先も俺にはミリアが必要だ。


 ミリアがいる、父もいる何も恐れる必要はないだろう。


 さぁ次の偉業を成し遂げようではないか。

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 これと次のミリア視点で第一章「英雄の目覚めと奴隷解放」は終了です。

 正直読者の心をつかむために見せ場である会議のシーンを強引に前に持ってきたことによってヒロインであるミリアとの準備のシーンを書けなかったのはまずいと思っています。

 多分後で閑話で書くなり、加筆すると思います。

 それとダイナマイトの製造を犯罪奴隷にやらせてるのは

いきなり準備なんてできないし危険→ちょうど犯罪奴隷がいる。→犯罪奴隷なら多少危険でもいいしなによりちょっとの衝撃で自分の命事吹き飛ぶものの周りで暴動なんて起こさないでしょ

    って思ってのことです。

 

 読者のも皆さんにお願いがあるのですが内容は何でも良いのでレビューを書くか、応援メッセージください。最悪、星1+悪口とかでもいいので。読者の反応がないと面白く書けてるのかそうでないのかわかりずらいんですよね。

 そういうわけでよろしくお願いいたします。

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