6年後
魔法を練習し始めてから6年がたった。
意外なことに攻撃魔法を中心にして練習するのではなく、魔力操作を中心とした基礎練習を中心にやらされ、攻撃魔法は5歳になるまで一切練習させてもらえなかった。
魔力操作をみっちりやらされたこともあって、魔法で作った水で鳥や魚を作りそれを生きているかのように動かす、というまるで曲芸のようなことが出来るようになってしまった。
5歳になるころには父との剣術の稽古も始まった。前世では中学生のころに宮本武蔵にあこがれて剣道をはじめる、とかいう黒歴史を作り出していた。だがその甲斐もあったのか父にいきなり勝ってしまった。その時のエロおやじの間抜けな顔は今でも忘れられない。
前世ですら武士しか剣術を学んでいなかった戦国時代の剣術に比べ庶民も学ぶようになった江戸時代後期の剣術は圧倒的だったというから貴族しか剣術を学んでいない環境だったことを考えると父が負けたことは仕方なかったことでもある。
しかし、剣術において父から学ぶことはないのかというとそうではない。なぜなら、この世界には魔物と呼ばれる生物がおり父はそういったものを倒すことにおいては俺より圧倒的に優れていたからだ。前世の剣術は対人戦メインであり魔物などという生物相手にふるうことを想定されてはいないからである。今でも父の仕事の間の時間の取れる時に剣の稽古をしている。
また魔法の練習をする合間にこの世界に関する本などもしっかりと読んだ。
本を読んでわかったことをまとめると。
・自分たちが属している国の名前はサラディーン王国というらしい
・自分達の住んでいるイースル領はサラディーン王国東部の沿岸部らしい
・サラディーン王国の南側には聖教国という宗教国家が、東側にはビクタリ帝国
があり、西側は中小国家の集合、北側は少数民族が国家を作らずに過ごしてい
る。
・この世界の星座etc...
である。
しかし、ここまで来て疑問がある。
それは我が家の使用人の数である。この世界の物語を読んでみるとわかるが辺境伯家の屋敷ならもっと大勢の使用人がいるはずなのである。
これは大問題だ。特に美人メイドの類が見られないのは大問題である。
そうと思ったが吉日、今日の稽古後に父に聞いてみることにした。
「父様、我が家にメイドが少ないのはなぜですか?」
「それは...」
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