第430話

 集団で行動する突撃カモメの群れを倒し終わったアルたちだったが、突撃カモメの数はあまりにも多く居た為、アルが魔法を使って突撃カモメのドロップアイテムを回収すると、アルたちは探索を再開する。


 それからもマングローブトレントや突撃カモメを倒して進んでいると、アルたちの進んでいた進行方向に三メートルを超える大きさの大きな貝殻を背負ったヤドカリを発見した。


 新しいモンスターの発見だが、既にこちらをヤドカリの目が捉えているのを感じ、アルはシェーレに指示を出す。


 「シェーレ、あのヤドカリは任せた。」


 『分かりました。行って来ます!!』


 シェーレが先頭に出て大きなヤドカリに向かうと、そんなシェーレに敵意を向けてヤドカリも動き出した。


 アルはそんなヤドカリに鑑定系魔法を発動して、あのモンスターがどんなモンスターなのかを確認する。


 そうして分かったのは、あのヤドカリの名前は大殻ヤドカリという名前と、その生態だった。


 「シェーレ!大殻ヤドカリは水魔法を使うそうだ!打撃だけじゃなくて魔法にも気を付けろ!!」


 『分かりました!』


 シェーレに先ほど鑑定系魔法で調べた大殻ヤドカリの攻撃手段を伝えると、アルたちはシェーレと大殻ヤドカリの戦闘を観戦していく。


 お互い真っ直ぐに進むシェーレと大殻ヤドカリの二匹は、またお互いにハサミを振るってぶつけ合う。


 ハサミとハサミの衝突に衝撃が発生し、シェーレと大殻ヤドカリの周囲の水がハサミがぶつかり合う度に衝撃で弾ける。


 お互いに何度もハサミとハサミがぶつかり合った衝撃が発生するなか、大殻ヤドカリが水魔法を使って来た。


 大殻ヤドカリの口元から圧縮された水を勢いよく放出する。


 魔闘気と放出される勢いもあり、大殻ヤドカリのウォーターカッターはシェーレの纏う魔闘気を削って行き、シェーレの甲殻に傷を付けた。


 『シェーレが攻撃を受けたのです!!』


 『かなり威力のある魔法デス。あれを生身で受けるのは危険ですネ。』


 ユキと同じ様にシェーレがダメージを受けた事に驚くのと、ラティアの様に大殻ヤドカリの分析をする者に分かれる中で、ダメージを受けたシェーレが反撃に移った。


 魔闘気を纏う量を増やして、更にハサミに込めた魔闘気の量を増やして集中させた一撃が大殻ヤドカリのハサミとぶつかり合う。


 これまでで一番激しい音と衝撃が巻き起こると、大殻ヤドカリのハサミが粉砕された。


 それには大殻ヤドカリも痛みと戸惑いで後退するが、そんな大殻ヤドカリにシェーレは追撃を行なっていく。


 左右のハサミを振るって打撃と斬撃を交互に大殻ヤドカリに命中させて行き、大殻ヤドカリは繰り返される度にボロボロになって行った。


 「ああやって、大殻ヤドカリは身を守るのか。」


 『でもどうやってここからシェーレお姉ちゃんに勝つ気なのかな?パパ。』


 「分からん。もしかしたら、貝殻の中からシェーレに水魔法で攻撃をするのかも知れないな。」


 そして最後には大きな貝殻の中に閉じ籠った大殻ヤドカリの貝殻を、シェーレは魔闘気を集中させたハサミで数回叩くと、大殻ヤドカリの貝殻は粉砕されて中身が飛び出る事になる。


 大殻ヤドカリの中身が露出すると、その弱点が剥き出しになった大殻ヤドカリにシェーレはトドメを刺して、大殻ヤドカリとの戦闘は終わった。


 戦闘が終わってすぐにシェーレの元に向かったアルたちは、シェーレの元にたどり着くと、アルはシェーレに回復魔法で癒して行き、その間にユキたちが大殻ヤドカリのドロップアイテムを探していく。


 そうして無事にドロップアイテムの回収とシェーレの甲殻の傷を癒し終わり、アルたちは十一階層の探索に戻った。


 それからも遭遇するモンスターを倒して進み続けて行き、アルたちはかなりの量のモンスターを倒して進み、一週間も掛かったが二十階層にたどり着くのだった。

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