第429話

 大量に魔闘気を消費した事で、マングローブトレントから感じていた物が無くなった事を遠くに居ても分かり、それなら近くで戦っているユキにも感じ取れているだろう。


 あとは魔闘気の大量消費で弱ったマングローブトレントをユキが倒すだけだろうと、アルたちは歩いて行く。


 事実アルたちが歩いてマングローブトレントの元へ向かっている間に、ユキが魔闘気の大量消費で弱ったマングローブトレントの木の幹に蹴りを食らわせて倒していた。


 「お疲れ、ユキ。それで強さ的にどうだった?」


 『うーん?遊ばなければ、そこそこの強さの敵です!みんな、一対一で戦えば余裕に戦えるのです!!』


 ユキからのマングローブトレントの評価を聞き、確かにユキが戦っていたマングローブトレントの強さや戦い方を見ても、今のアルたちの中で苦戦する者は一人も居ないだろう。


 ユキからの評価を聞いたアルたちは、マングローブトレントが居た場所に出来た灰の山からドロップアイテムを回収すると、十一階層の探索に戻った。


 そうしてマングローブトレントを倒してから数分後、また新しいモンスターと遭遇する事になる。


 今度のモンスターは空から数十匹で鳴き声を上げながら現れた。


 「今度はカモメか……名前は突撃カモメ。名前の通り、攻撃手段は突撃するだけかな?」


 鑑定系魔法で突撃カモメを調べ尽くすと、アルは数の多さもあって全員で討伐しようかと思ったが、ここは空中にモンスターが居る事もあり、アルはカナリに指示を出していく。


 「カナリ、お前の雷撃で空から墜落させろ!」


 『分かったメー!最大出力だメー!!!』


 大量の雷が魔法で生成されると、カナリの水に濡れていない毛皮に集まると、それが頭部に集まって行き、そして突撃カモメたちに向かって、毛皮により増幅された雷撃が放たれる。


 一番先頭の突撃カモメに雷撃が命中すると、その雷撃が命中した突撃カモメを起点にして繋がる様に後ろの突撃カモメに雷撃が当たり、またその周囲の突撃カモメたちに雷撃が繋がって行き、それが繰り返されてかなりの突撃カモメに雷撃が命中して行った。


 カナリの雷撃を受けた突撃カモメの内、最初の方で雷撃を受けた突撃カモメは黒焦げになり死亡し、最後尾の方は感電して麻痺状態になって地表に落下する。


 落下の途中で灰へと変わりドロップアイテムになる突撃カモメもいたりしたが、それでも大半の突撃カモメは死んではいない。


 その為、アルはまだ生きている突撃カモメを倒す様に、今度はサフィに指示を出した。


 「ユキ、サフィ。麻痺している今の内にトドメを刺してくれ!」


 『行って来るのです!!』


 『……ん、分かった。』


 二匹の召喚獣たちが勢いよく突撃カモメの落下地点に向かって行くのを見送ると、アルたちもユキとサフィよりは遅いが落下地点に向かって行く。


 そうして向かって行ったアルたちが見たのは、ユキとサフィが麻痺状態から回復して飛び立とうとしていた突撃カモメたちを倒しているところだった。


 このまま二匹だけに任せていると、飛び立つ突撃カモメが居ても可笑しくないと判断したアルは、指示を出していない召喚獣たちにも突撃カモメの排除の指示を出した。


 指示を出したアルも飛び立とうとしている一匹の突撃カモメを剣で切り裂いて倒すと、周りを確認する。


 その中で飛び立った突撃カモメも居たが、その突撃カモメをクウが噛み砕いて倒すと、すぐに噛み砕いた突撃カモメをその場に吐き捨てた。


 飛び立とうとする突撃カモメはカナリとクウの二匹が雷撃と噛み砕きで倒して行き、飛び立とうとする突撃カモメや未だに麻痺状態の突撃カモメに瀕死だが未だに生きている突撃カモメをアルたちが倒して行った。


 突撃カモメが何かをする前にアルたちは突撃カモメを倒し終わって、突撃カモメの群れとの戦闘は終了した。

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