第428話
モンスターの反応があったマングローブに似ている木に向かって、アルは周囲の水を利用して水の槍を複数作ると放った。
魔法使用時にアルの足元の水が一時的になくなるほどに大量の水を使って作られた複数の水の槍は、モンスターの反応があったマングローブへと突き刺さろうとしたその時、マングローブが魔闘気を纏って、水の槍は威力を軽減しながら浅くマングローブ?に突き刺さる。
「擬態だったな。ユキ、あの一匹だけだ。倒してくれ。」
『分かったのです!!』
濡れるのを嫌って空中を風魔法を使って飛んでいたユキは、空中をからながらマングローブ?へと向かって行く。
ユキがマングローブ?へと向かっている間に、こちらへと向かって飛んで来る水の玉を周りの召喚獣たちに対処を任せたアルは、マングローブ?に鑑定系魔法を発動した。
「マングローブトレント。汽水一帯に生息するモンスターか。水耐性もあったから浅くしか刺さらなかったんだな。」
魔力の消費を少しでも軽減する為に、周囲の水を使って魔法を使うのではなく、他の属性の魔法か、純粋に自身の魔力を使って水の槍を放っていたら、先ほどよりもマングローブトレントにダメージを与えられただろう。
そんな事を思いながらマングローブトレントの方を見ると、ユキがマングローブトレントに攻撃を仕掛けるところだった。
宝石角から風魔法をマングローブトレントへと放ちながら、ユキはマングローブトレントの周囲を風魔法を使用して跳び回る。
立体的に移動し続けながらマングローブトレントに攻撃を行なっているユキに対して、マングローブトレントは木の根を使ってユキの攻撃に対処しているが、その度に周囲に破壊された木の根の破片が飛び散っていた。
様子見の為にそこまで本気を出して攻撃をしていないユキに焦っているのか、マングローブトレントは攻勢に出始める。
しっかりと地面に張っていた木の根を引き抜いてユキにマングローブトレントは迫りながら、移動に使っていない木の根や魔法で生えた蔦や飛ばした切れ味の鋭い葉っぱがユキを襲う。
『当たらないのです!!』
ユキの周りに暴風が発生すると、飛ばされた葉っぱや攻撃の為に接近していた蔦や木の根が切り刻まれ吹き飛ばされる。
そのまま暴風を纏いながらマングローブトレントに接近すると、マングローブトレントの隣を通り抜けた。
すると、暴風に削り取られたマングローブトレントの木片や葉っぱが周囲に飛び散る。
それを三回ユキが繰り返すと、マングローブトレントの木の幹には大きな傷跡が三つに生えていた葉っぱの半分以上が無くなって禿げていた。
このままあと数回ユキが同じ事をすればマングローブトレントを倒せるだろう。
だが、ユキはそれをせずに纏っていた暴風を宝石角に集めて行き、宝石角をマングローブトレントに向ける。
『食らうのです!!』
風の足場に踏ん張ったユキは、宝石角から暴風を纏う魔闘気弾を放った。
これを受ければ確実に負けると判断したマングローブトレントは、ユキの攻撃を防ぐ為にその場に根を下ろすと、暴風を纏う魔闘気弾の進行方向に魔法障壁や木の壁に水の壁を張り出した。
魔法障壁や木の壁に水の壁が暴風で削り取られながら、マングローブトレントに向かって魔闘気弾は突き進み突破する。
マングローブトレントが発動した魔法での防御を破壊した魔闘気弾は、そのままマングローブトレントに命中するかと思われた。
けれど、マングローブトレントの最後の悪足掻きがマングローブトレントを生き残させる事になる。
かなりな量の魔闘気纏わせた大量の蔦が魔闘気弾の進行方向を晒したのだ。
上空に向かって逸れていく魔闘気弾はマングローブトレントの残りの枝や葉っぱを切り刻み吹き飛ばしながら、そのままマングローブトレントの後方へと向かって行った。
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