第424話

 太陽が昇る前の朝の早い時間帯にアルたちは最上級ダンジョン水晶大王蟹の試練に来ていた。


 流石にこんなに早い時間帯ならばクライム王子一行も水晶大王蟹の試練に来てはいないだろう。


 そして、アルたちは水晶大王蟹の試練の一階層の沼地を移動していると、早速モンスターと遭遇する。


 最初に遭遇したモンスターはバレットバードだ。翼を羽ばたいて羽を銃弾の様に飛ばすモンスターだと鑑定系魔法を複数同時に使う事で理解した。


 それを全員に伝え終わる前にバレットバードの群れが一斉に羽ばたいて魔闘気を纏う羽を飛ばして来る。


 「シェーレ!」


 『防ぎます!!』


 最上級ダンジョンに入った時からぬいぐるみサイズから元のサイズに戻したシェーレが放った衝撃波により、バレットバードの群れが放った羽を全て吹き飛ばしてしまう。


 「サフィ!カナリ!」


 『……ん、やる。』


 『行きますメー!!』


 大量の水弾を弾幕の様に放ってサフィと角から雷撃を上空に飛ばすカナリの二匹の攻撃により、バレットバードの群れは沼地に落下していく。


 沼地にバレットバードの群れが落下する音が聞こえて来るなか、流石に最上級ダンジョンのモンスターだからか、バレットバードは未だに生きており、トドメを刺す為にアルは弱ったバレットバードを全員で倒して行った。


 そうしてバレットバードの群れとの戦闘が終わって一段落とは行かなかった。


 次にアルたちの方に向かって来たのは蜻蛉のモンスターだ。


 鑑定系魔法で鑑定して調べると、ブレードヤンマというモンスターで、翅が鋭く切れ味があり、その翅で獲物をバラバラに切り裂いた捕食するらしい事が分かる。


 アルはブレードヤンマの攻撃手段を伝えると、接近して来る前にダメージを少しでも与えて倒す為に攻撃の指示を出していく。


 「クウ!」


 『うん!行くよ!!』


 指示を出すとクウはブレードヤンマの群れに向かって特大の熱閃を横薙ぎに薙ぎ払う。


 ブレードヤンマの群れが回避する間もなく熱閃がブレードヤンマを飲み込んで行き、クウが熱閃を吐くのを止めると、ブレードヤンマの群れは消えていた。


 「かなり威力を上げたな、クウ。」


 『うん、移動してる時頑張って魔闘気を鍛えたもん!』


 クウの放った熱閃により足元が温かくなっているが、移動には問題ない為、アルたちはバレットバードとブレードヤンマのドロップアイテムを魔法で回収して移動を開始した。


 幾つかのドロップアイテムはクウの放った熱閃により素材の品質が駄目になっている物もあったが、それはこれからも探索をし続ければ手に入る為、問題はないだろう。


 そうして移動を再開したアルたちだったがそれからまたバレットバードの群れの襲撃に遭う事になる。


 前回と同じ様にバレットバードからの攻撃はシェーレに任せて、倒すのはユキとラティアに任せた。


 ユキは風魔法を魔闘気弾に纏わせて放ち、獣型ゴーレムを使っているラティアは仕込み武器から放つ魔力光線を使って攻撃していく。


 そうしてバレットバードの群れが墜落した地点に移動をしている途中に、モンスターの反応が探知系魔法に引っ掛かる。


 「みんな、ストップだ。あそこにモンスターが居る。」


 そう言ってアルが指差した場所は沼地が広がっているだけで何も居ない。


 『何も居ないのです?どこに居るのです、アル。』


 「あそこの沼地の泥の中に隠れて居るんだよ、ユキ。サフィが攻撃してくれ。隠れているモンスターは結構大きいから気を付けろよ。」


 『……ん、分かった……威力の、高い……魔法を、使う。』


 そうしてサフィに沼の中に隠れている大型のモンスターの対処を任せると、アルたちは隠れているモンスターを警戒する。


 隠れているモンスターは隠蔽能力の高いモンスターの為、探知系魔法を経由しての鑑定系魔法が通用しない。


 その為、サフィの攻撃で姿を現すのを待っていると、サフィが攻撃を開始した。

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