第422話

 朝が明ける前に魔導潜水戦艦マリンフォートレスの簡易修復を終えると、アルはラティアに潜水する様に指示を出して艦橋内に備え付けられたベットに向かって眠りに付いた。


 ぐっすりと睡眠を取ったアルは目覚めると、ラティアに今の状況を聞いた。


 『順調に進んでいマス。この調子なら今晩には王都方面の岸に着岸する事も可能デス。』


 「そうか、分かった。そのままマリンフォートレスを進めてくれ。」


 順調そうでなりよりと思いながら、アルは少し遅いが昼食の用意を始めていく。


 「遅くなったけどご飯だぞ。」


 艦橋内で魔闘気を魔導潜水戦艦マリンフォートレスに送っていたユキたち召喚獣を呼び寄せると、遅めの昼食をアルたちは食べて行った。


 昼食を食べ終わったアルたちはそれぞれが自由に時間を過ごすなか、アルは生成した魔闘気を魔導潜水戦艦マリンフォートレスに送りながらオセロなどのボードゲームをユキたちと楽しんだ。


 そうして時間は経って行き、夕食から二時間後に魔導潜水戦艦マリンフォートレスは王都方面の岸に着岸した。


 「んー!はぁー……さてと、じゃあ行きますか。」


 『アル、船の修理はしないのです?』


 アルが魔導潜水戦艦マリンフォートレスを魔法の収納空間の中に仕舞うと、ユキは修理はしないのかと聞いてくる。


 「今はしないよ。当分はマリンフォートレスを使う事はないだろうからね。それよりもなるべく早く水晶大蟹の試練を受けられる最上級ダンジョンに向かわないと行けない。この国の王子が攻略に乗り出した様だからな。」


 急がないと行けない理由を教えると、ユキたちは納得してすぐに行こうとアルにせがんでくる。


 クォーツ湖の湖岸から移動して王都へと続く街道を目指して進んで行く。


 街道までの間、アルたちは道無き道を進む事になり、当然そんな場所を進む為、眠っていたモンスターや夜行性のモンスターに襲われる。


 それでも襲って来るモンスターは格下の為、アルたちは苦戦はしないがモンスターから襲われる数が多くて鬱陶しいほどだった。


 そうして王都に続く街道へと出ると、収納空間から魔道馬車を取り出してラティアの操縦で夜遅くの街道を魔道馬車は進む。


 「ラティア、この辺りで止めてくれ。」


 『分かりましタ。停車しマス。』


 魔道馬車が周囲が開かれている場所で止まると、そこでアルは仮眠を取る事にした。


 「ラティアも今日は休んでくれ。俺も魔道馬車の周りに結界を張ったら仮眠するから。」


 『分かりましタ。おやすみなさイ、マスター。』


 「ん、おやすみ。」


 ここ何日も稼働し続けていたラティアが休みに付くのを確認すると、アルは魔道馬車の周りに結界を張ってから魔道馬車の中に入って行く。


 『あるじ様、私が見張りをしましょうか?』


 「結界も張ったし、この周りには敵となるモンスターも人間も居ないから見張りは良いよ。だからシェーレも眠りな。俺も少し寝るから。」


 『そうですか、分かりました。明日はいつもの時間に起こしますか?』


 「一時間遅くて良いよ。おやすみ。」


 『はい、おやすみなさい。』


 空間拡張している魔道馬車の中にあるベットでアルは仮眠を取ると、午前七時にシェーレにアルは起こされる。


 そうして仮眠から起きたアルはまだ眠気がある中で、ラティアの操縦する魔道馬車で王都を目指して進んで行く。


 まだ午前九時だが王都の門の前は人が並んでいる。あの集団は昨日の夜に門が仕舞ってしまい王都の中に入らなかった者たちの一部なのだろうか?


 そんな事を思いながら魔道馬車は王都の門を潜り抜けて大通りを進んで行き、そのまま反対の門を通り過ぎてアルたちは王都を後にする事になる。


 王都の中にいたのは数十分だけとかなり短い間だけだった。金級冒険者になった事で王都の王立図書館の閲覧範囲も増えた事で読める本が増えたのを確認する事が出来なかった事を残念に思いながら目的地まで向かって行った。

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