第421話

 アルやユキたちもクリスタルキングクラブのハサミが閉じる事で魔導潜水戦艦マリンフォートレスが壊されるのではないかと慌てるなか、ラティアは冷静に魔闘気の推進力を増しながらクリスタルキングクラブへと突き進む。


 クリスタルキングクラブもハサミでの押さえ付けとハサミを閉じながら魔導潜水戦艦マリンフォートレスを引き離そうと行動する。


 それでも魔導潜水戦艦マリンフォートレスの推進力の方が勢いもあり、今も艦橋内にも響く振動を立てながらクリスタルキングクラブの腹を削っていく。


 そうして魔導潜水戦艦マリンフォートレスのドリルにより削られて行き、クリスタルキングクラブの腹を守る水晶を突破してドリルはクリスタルキングクラブの肉を削り出した。


 完全にクリスタルキングクラブの腹部を守る水晶をドリルが突破した事で魔導潜水戦艦マリンフォートレスを挟み込んでいたハサミから力が失われた。


 『今デス!!』


 魔導潜水戦艦マリンフォートレスの推進力をドリルを回転させるのに使用していた魔闘気を減らす事で更に増し、クリスタルキングクラブのハサミでの拘束から魔導潜水戦艦マリンフォートレスは脱出した。


 そのまま脱出した魔導潜水戦艦マリンフォートレスは、勢いそのままにクリスタルキングクラブへと突っ込で行く。


 突っ込んだ魔導潜水戦艦マリンフォートレスは、クリスタルキングクラブの腹部を完全に破壊すると、そのままクリスタルキングクラブの甲羅にドリルは衝突したのか、また艦橋内に振動が響き渡る。


 「こんなに大きな穴が空いているのに、まだ死なないのか!?」


 魔導潜水戦艦マリンフォートレスの先端に付けられたドリルによって大きな穴が腹部に出来ても、未だにクリスタルキングクラブから魔闘気が発せられている。


 それだけでクリスタルキングクラブは生きている事が分かるが、それも急速に減少しているのも感じ取れた。


 「ラティア!至近距離から魔力光線と魚雷を放てえ!!!」


 『了解デス、マスター!』


 艦橋内を揺らしていた振動が収まり始めると、すぐに魔導潜水戦艦マリンフォートレスから魔力光線と魔力魚雷が放たれた。


 そうして至近距離からの魔導潜水戦艦マリンフォートレスによる一斉攻撃により、クリスタルキングクラブの魔闘気は更に減少して行き、魔闘気の守りが薄くなった水晶の殻に攻撃が次々に命中していく。


 そして、連続で何度も放たれた魔導潜水戦艦マリンフォートレスの一斉攻撃が止むと、そこには腹部がボロボロになって力を失ったクリスタルキングクラブが横たわっていた。


 『クリスタルキングクラブを倒しましタ。これからクリスタルキングクラブの回収作業を行ないマス。』


 「ああ、頼む。作業しながらで良いからマリンフォートレスが受けた被害を教えてくれ。」


 『分かりましタ。』


 ラティアからクリスタルキングクラブから受けた魔導潜水戦艦マリンフォートレスの被害状況を聞いていく。


 そうして被害状況を聞いていると、魔導潜水戦艦マリンフォートレスは浸水するほどの被害は辛うじて免れたそうだ。


 だが、それでも修理は必須な様で魔導潜水戦艦マリンフォートレスはクリスタルキングクラブの回収が終わり次第に浮上する事が決まった。


 魔闘気をかなり消費してぐったりとしているユキたちに魔法薬を飲ませていると、ラティアからクリスタルキングクラブの回収作業が終わった事を伝えられる。


 『回収作業が終わりましタ。これから浮上を開始しマス。』


 魔導潜水戦艦マリンフォートレスがクォーツ湖の湖面に浮上すると、浮上した魔導潜水戦艦マリンフォートレスを月明かりが照らす。


 「夜で良かったな。」


 これが昼間だとマリンフォートレスの姿が誰かによって暴露る事になっていた可能性が高い。


 そうしてクォーツ湖の湖面に浮上した魔導潜水戦艦マリンフォートレスの簡易修復を夜が明けるまでの間にアルとラティアは行なっていった。

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