第419話
急制動でクリスタルキングクラブが放つ魔力光線を躱しながら、ラティアの動かす魔導潜水戦艦マリンフォートレスは進んで行く。
それでも魔導潜水戦艦マリンフォートレスの大きさのせいで、クリスタルキングクラブの魔力光線を全ては回避する事はギリギリで出来ず、魔導潜水戦艦マリンフォートレスの船体に掠る程度だが命中する。
「まだ距離があるから避け切れる感じか?」
『ハイ、ですからワタシも魔力光線を放つ事で相殺しようと思いまス。』
「みんな、送る魔闘気の量を増やすぞ。ラティアはそれを使って攻撃と防御の両方を頼んだ!」
全体への指示を出すと、アルは自身の身体から生み出した魔闘気を魔導潜水戦艦マリンフォートレスへと送って行った。
それに合わせる様にユキたちも魔導潜水戦艦マリンフォートレスに魔闘気を送る事で、ラティアが操作していた魔導砲から放たれる魔力光線に魔闘気が多く混ざる事で威力を増した魔力光線がクリスタルキングクラブの魔力光線を相殺する。
これでクリスタルキングクラブへと接近するのに今のところは問題は無くなったが、それもクリスタルキングクラブと接近すればするほどに変わってくるだろう。
それにしても魔法で作られた魔力魚雷がクリスタルキングクラブに命中しても、対してクリスタルキングクラブに効いていないのが残念だ。
クリスタルキングクラブの甲羅を削り破壊する事は出来ているが、もっと大きなダメージを与えられる様に改良する必要がある。
そんな事を思っていると、クリスタルキングクラブが一定間隔で放っていた魔力光線を止めて、右のハサミに魔闘気が集まり出していた。
「ラティア!」
『全力で防ぎマス!』
クリスタルキングクラブから今までで一番の威力を持った魔力光線が魔導潜水戦艦マリンフォートレスに放たれた。
それを迎撃する為にラティアは、魔導潜水戦艦マリンフォートレスの前方にある魔導砲を全てクリスタルキングクラブの魔力光線を相殺させる為に放つ。
『結界多重展開!皆さん衝撃に備えてください、直撃しマス!』
ラティアがそう念話で告げた次の瞬間、クリスタルキングクラブの魔力光線の相殺に失敗し、魔導潜水戦艦マリンフォートレスにクリスタルキングクラブの魔力光線が直撃した。
最大魔力で展開した多重結界は一枚、また一枚と破壊されて行き、先ほど展開した最後の結界が破壊されると同時に魔導潜水戦艦マリンフォートレスに常時張られている結界にクリスタルキングクラブの魔力光線が命中する。
これまでに張られていた多重結界により威力を削いで軽減させる事に成功したお陰で、魔導潜水戦艦マリンフォートレスに張られていた結界を突破させなかった。
魔導潜水戦艦マリンフォートレスの揺れは凄く、全員が揺れに耐えるのに必死になる。
「うぉ!」
『揺れるのです!』
『しっかり捕まってください。カナリ大丈夫ですか?』
『シェーレ、助かったメー。ありがとうメー。』
『うぅ揺れるよ、パパ!』
そんな揺れの中で何とか全員が無事で済んだ。
「みんな大丈夫か?」
『大丈夫です!』『こちらも無事です、あるじ様。』『……飛んだ、から大丈夫。』『シェーレに助けられたから大丈夫メー。』『パパ!私も大丈夫だよ!』
そう問い掛けたアルに全員の無事な声が聞こえた。
「ラティア、マリンフォートレスにダメージは当たったか。」
『いえ、ありませン。このままクリスタルキングクラブに突っ込みマス。』
アルは全員の無事を確認すると、視界の端でシェーレに助けられたカナリが元の持ち場に向かうのが見えるなか、クリスタルキングクラブの方を確認する。
すると、クリスタルキングクラブは先ほど高威力の魔力光線を放ったハサミを下ろしており、反対のハサミを持ち上げて魔導潜水戦艦マリンフォートレスに向けていた。
「ラティア!!」
『妨害しまス。皆さん、魔闘気を送ってくだサイ!』
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