第418話
それから二日間の間は何事もなく魔導潜水戦艦マリンフォートレスはクォーツ湖の水中を進んでいた。だが、ここで問題が起こる。
『マスター!襲撃でス!!高魔力を感知しましタ。』
「こっちでも感知出来た!ラティア、逃げ切れそうか!」
『難しいでス。モンスターを回避しようとマリンフォートレスを動かしてますがガ、そのモンスターは前方に居テ、こちらの動きに対応して動いていまス。』
「戦わないと駄目か……それなら戦おう。ラティア、全武装を全力で使える様にして置いてくれ。」
『分かりましタ。』
アルは艦橋に居ない召喚獣たちを呼ぶと、少しでも多くの魔力や魔闘気を魔導潜水戦艦マリンフォートレスに流す様に指示を出した。
これで魔導潜水戦艦マリンフォートレスは最大限の力を発揮する事が出来る様になったはずだ。
そうしてアルたちが戦闘準備を整え終わった頃に、前方に現れた強いモンスターを視認する事が出来る様になった。
それは巨大な水晶の身体を持つ蟹のモンスターだった。鑑定系魔法を使って調べれば、あのモンスターはクリスタルキングクラブだと判明した。
けれど、あのクリスタルキングクラブは鑑定した結果、二十メートルほどもあるのに成長途中のクリスタルキングクラブだった事に驚きを隠せない。
あれが成長途中だとしたら、完全に成長が終わったクリスタルキングクラブは一体どれくらいの大きさになるのだろうか?
魔導潜水戦艦マリンフォートレスに向かって敵意を向けているクリスタルキングクラブに攻撃する様に指示を出していく。
「魔闘気を纏っているだけでクリスタルキングクラブは何もしていない。こっちから先制攻撃を行なうぞ!ラティア、ドリル以外の武装を発射だ!!」
『攻撃を開始しまス!!』
魔導潜水戦艦マリンフォートレスの前方に付いる魔力砲の砲門が十と魔力魚雷砲が四からクリスタルキングクラブへと攻撃が放たれる。
高出力の魔力光線の十の光がクリスタルキングクラブに命中し、四つの砲門から放たれた魔法で作られた魚雷がクリスタルキングクラブに直撃して爆発を起こす。
発生した爆発の威力で魔導潜水戦艦マリンフォートレスも若干の揺れが発生するなか、クリスタルキングクラブの身体から水晶の甲殻の破片が散らばっていく。
「あれだけじゃ倒せないか。」
『追撃しまス!』
クリスタルキングクラブから感じ取れる魔闘気は少しも減っておらず、それどころかより魔闘気を纏い始めた。
その纏った魔闘気を超えてダメージを与えるが、それでも最初の命中した攻撃よりもクリスタルキングクラブにダメージを与えられたいない。
このまま続けてクリスタルキングクラブを弱らせる方針に変えると、アルたちは魔闘気を魔導潜水戦艦マリンフォートレスに流してラティアが攻撃を行なっていく。
「攻撃が来るぞ。ラティア、回避行動を取れ!!」
『了解でス、マスター!』
グンッと魔導潜水戦艦マリンフォートレスは急速に回避の為に動き出した。そのお陰で先ほどまで魔導潜水戦艦マリンフォートレスがあった場所にクリスタルキングクラブが放った魔力光線が貫いていた。
「ラティア、クリスタルキングクラブの攻撃が命中した時にマリンフォートレスは防げるか?」
『問題ありません。ですが、連続で同じ箇所に命中すれば装甲を破壊され兼ねません。』
「やっぱりか……!」
先ほどクリスタルキングクラブのハサミから放たれた魔力光線には魔闘気が混ぜれており、かなりの威力に感じられたからだ。
「ラティア、魔力光線の直撃は何とか避けてくれよ。」
『ハイ、任せてくださイ。』
「攻撃しながら前進だ!!ドリルで貫いてクリスタルキングクラブを倒すぞ!!みんな、魔闘気をマリンフォートレスに流すぞ!!!」
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