第417話
上級ダンジョンの攻略が終わり、アルたちは迷宮都市スリンカを出て魔道馬車に揺らされて三日経ち、クォーツ湖にたどり着いた。
それから一週間ほどの間クォーツ湖周辺で過ごす事になる。この一週間で試作として作った魔導船を新しく作り直す為だ。
そうして作り上がったのが魔導潜水戦艦マリンフォートレスだ。全長三十五メートル、横幅二十メートル。動力には凝縮魔力宝珠と魔像の融合炉を使っている。
武装は魔導砲がマリンフォートレスの前方に十つ、後方に六つ。ミスリル製の大型ドリルがマリンフォートレスの前方真ん中に備えられており、魔法で作られた魔力の魚雷を放つ砲台がマリンフォートレスの下側前方に四つ、下側後方に二つ付いている。
防御能力は魔鋼とミスリルの合金と防衛結界発生装置の二つでカバーする予定になっている。
そうして作り上げた魔導潜水戦艦マリンフォートレスを使ってクォーツ湖を潜水して移動をする予定だ。
「ラティア、出発開始だ!!」
『各種隔壁の閉鎖を確認。』
艦橋以外の窓ガラスの外に魔鋼とミスリル合金の隔壁が降りる。
『艦橋外多重結界発生。』
艦橋の周りを多重の結界が張られていく。
『魔導潜水戦艦マリンフォートレス、潜水開始、出発します!』
魔導潜水戦艦マリンフォートレスは徐々にクォーツ湖を潜り始めて行った。
真夜中のクォーツ湖に潜水した魔導潜水戦艦マリンフォートレスは真っ暗なクォーツ湖を進んで行く。
「暗くて何も見えないな。ラティア、照明を付けられるか?」
『可能でス。ですガ、モンスターが寄って来まス。どうしますカ?』
「構わない、やってくれ。」
『分かりましタ。照明を付けまス。』
マリンフォートレスの前方を照らす様に照明が付けられる。すると、真っ暗で見えなかったクォーツ湖だった透明度が高くプランクトンと思われる小さな何かが大量に艦橋の窓ガラス越しに見え始めた。
『あっ!パパ、魚が泳いでるよ!!』
「本当だな。サイズが大きいけどモンスターかな……はぁ、やっぱりモンスターが来るか。ラティア。」
『迎撃準備を行いまス。攻撃はどうしますカ?』
「接近して襲って来る様なら攻撃をしてくれ。感じた魔力からしてそこまで強くないからな。」
『かしこまりましタ。』
マリンフォートレスを追って来るモンスターのスピードは、マリンフォートレスよりも速いスピードで移動している。
そんなモンスターに向かって後方の魔導砲を向けて、いつでも攻撃を可能にして準備をラティアは行なった。
『マスター、どうやらモンスターはマリンフォートレスに体当たりをしようとしている様でス。攻撃を開始しまス。』
魔導潜水戦艦マリンフォートレスの後方に備え付けられた魔導砲の砲塔に魔力が集まると、接近して来たモンスターに魔導砲から魔力光線が放たれた。照射された魔力光線はモンスターに命中する。
『攻撃命中しましタ。モンスターは撤退を選んだ様でス。追撃しますカ?』
「いや、良い。進む事を優先する。三日間は潜水して進むからな。最優先は移動だ。」
『魔導潜水戦艦マリンフォートレスはこのまま前進しまス。』
魔力を放出して推進と吸い込んだ水を噴出して推進の推進力を使って魔導潜水戦艦マリンフォートレスはクォーツ湖の水の中を進んで行く。
度々照明の明かりに釣られて寄って来るモンスターを撃退しながら進んでいると、もう大丈夫と判断したアルは眠る事にした。
「ラティア、あとはラティアに任せた。強いモンスターに襲われるか、何か緊急事態が発生した時に起こしてくれ。それまで眠る事にする。」
『了解でス。お休みなさイ、マスター。』
「ああ、おやすみ。」
艦橋内に設置されたベットの上に眠るユキたちを退かしながら、アルはベットに横になると眠りに付くのだった。
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