第416話
上級ダンジョンの攻略と金級冒険者になった記念のパーティーを行ない、オークキングの肉の塊を食べやすいサイズにして焼いたステーキ肉を口に入れる。
「美味い!!」
『アル!私も食べたのです!!』
『パパ!私も欲しい!!』
ぬいぐるみサイズのユキとクウがアルの足元にへばり付いておねだりしてくる。
「みんなの分もちゃんと焼いてるぞ。」
それぞれが食べやすいサイズに切り分けたオークキングの焼き肉を皿に盛ると、アルはみんなの前に置いていく。
すると、早速目の前のオークキングの肉をユキたちは貪る様に食べ始めた。
「無言になっちゃったか。まあ、凄い美味いからな。ラティア、これはラティアの分だ。」
『ありがとうございまス、マスター。』
凝縮させ続けた魔力の玉をラティアに渡す。オークキングの肉の代わりくらいにはなるだろう。
オークキングの肉を一度の食事で食べ切るほどに焼き続けていると、オークキングの焼いた肉の匂いに釣られたのか、アルたちの方へ多くの人だかりが出来始めていた。
「な、なあ俺たちにそれを食わせてくれないか?」
見知らぬ男がオークキングの肉を見ながらアルに話しかけてきた。
「断る。食事の邪魔だから何処かに行ってくれ。」
アルが断ると、その見知らぬ男はユキたちの方を見てから話し出す。
「モンスターには食べさせてるんだろ!なら俺らにも分けてくれよ!!な!良いだろう?」
図々しく男が言うと、その男に釣られた様に周りからも何人かの人間が食わせろと言ってきた。
正直ここまで頭の可笑しい人間が居るのかと思ってしまう。
「はぁ、いいから消えてくれ。こっちは気分良く食べているんだ。その邪魔をするな。それに自分たちが何を言っているのか分からないのか?図々し過ぎるんだよ!」
言いたい事を言った俺は結界を周囲に張ると、これで邪魔されずにパーティーを続けられる。
「はぁ、本当に何処にでも頭の可笑しい人間は居るんだよな。」
『あるじ様、あんな人間の事など忘れて食べましょう。』
「そうだな、シェーレ。次のおかわりを食べて行こうか?」
追加の焼き終わったオークキングの肉をみんなの皿に追加して食べていると、結界の外に居た男たちは何か言っている。
音を遮断する結界だけだったが、姿が見えても気分が悪いからと、外の景色を見れない結界を張った。
それからアルたちはオークキングの肉だけじゃ足りなく、オークジェネラルやオークセージの肉も焼き、それだけじゃなく野菜やパンも収納空間から取り出して食べて行った。
そうしてパーティーが終わる頃、片付けを済ませて帰ろうと結界を解いた時、その周りには警備兵だと思われる者たちに囲まれていた。
「やっと出てきたな。騒ぎを起こして!」
「なんの事です?」
疑問に思って聞くと、どうやら騒ぎを起こした頭の可笑しい男や一緒に騒いだ者たちがアルたちが騒ぎを起こした事にした様だ。
それを聞いてあの男たちを再起不可能なレベルまで痛め付けてやろうかと思うが、今はこの騒ぎを起こしたと言いがかりの対処をしないといけない。
そもそもこの場所は公共の場なのだから、アルたちが食事をしていても問題はないのだ。
それからアルは警備兵の人たちと話しを行ない、こちらの言い分を伝えると、一応と言う事で真偽水晶を使う事になり、これで俺の言い分が正しい事が証明された。
「そもそも俺たちが食べていた物を食わせる様に言った連中の方が可笑しいんですよ。あの連中をどうにかする事は出来ないんですか?」
「一応名前だけは知っていますが、偽名の可能性があります。自分たちが嘘を付いていたんですから。」
「はぁ、そうですか。じゃあ俺たちは行きますね。」
そうしてようやく解放されたアルたちは幾つかケチが付いたが、美味しいオークキングの肉を食べられて満足して迷宮都市スリンカを後にするのだった。
……………………………………………………
新しく作り直した作品があります
・怪異溢れる世界
以上の一作です
時間がある方は読んでくれると嬉しいです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます