第311話

 それからユキ、シェーレ、サフィの三匹とアル、ラティア、カナリ、クウの一人と三匹で戦いを一戦ずつで交代しながら進んで行き、今回のダンジョン探索で目標にしていた十階層のボス部屋の前に夜の七時くらいにたどり着いた。


 それでも十階層のたどり着くまでに体力や魔力の消耗もあり、今日はボス部屋の前の広場で結界を張り一晩過ごしていく。


 そして、朝一番にボスモンスター攻略の準備を終えたアルたちはボス部屋に続く門を潜り、ボス部屋の中へと向かった。


 ボス部屋に入ると、中央に現れた魔法陣から出現したのは、スケルトンメイジが十体にスケルトンメイジよりも豪華なローブや杖を身に着け、その身を包む闇属性魔力の衣を纏うガイコツ姿のモンスターであるリッチが現れる。


 「ユキ、シェーレ、サフィ。事前に話していた通りに、まずはお前たちだけで戦うんだ!」


 『ん!分かってるのです!!まずは私が撹乱するのです!!!』


 ユキが飛び出し、リッチ率いるスケルトンメイジたちへと角から魔闘気弾を乱れ撃ちしながら接近する。


 召喚されたばかりのリッチたちは、ユキからの先制に対してスケルトンメイジたちは、各々の得意とする属性魔法で魔法障壁を展開してユキからの攻撃を防ごうとする。


 だが、ユキの放ったドリルのように回転する尖った魔闘気弾は、スケルトンメイジが展開した魔法障壁を破壊してリッチたちに迫る中、リッチがスケルトンメイジたちを凌ぐ魔法障壁を展開してユキの魔闘気弾をすべて防いでしまった。


 先にスケルトンメイジたちの魔法障壁を破壊したとしても、ユキの魔闘気弾を受け止めて防ぐリッチの魔法障壁は、それだけ練度が高く使用した魔力の量や質も高いのだろう。


 『むっ!防がれたのです!!破壊してやるのです!!!』


 『次は私の番ですよ、ユキ先輩。私が切り裂きます!!』


 それを見てユキはもう一度魔闘気を角に集中させようとするが、それをシェーレが止めて魔闘気を収束させた鋭い切れ味の高いハサミを広げてリッチたちに向けると、勢いよくハサミを閉じてバチンッと大きな音がすると、シェーレの閉じたハサミの勢いに魔闘気の斬撃が飛ばされリッチたちに放たれる。


 シェーレのハサミから魔闘気の斬撃が飛ばされると、スケルトンメイジたちはリッチの作り出した魔法障壁の前に自分たちの魔法障壁を展開するが、紙を切るように魔法障壁は切り裂かれる。


 リッチの魔法障壁とシェーレの魔闘気の飛ぶ斬撃が衝突するが、リッチが魔力を魔法障壁に常に補給していても、シェーレの魔闘気の斬撃の方が勝ち、リッチの魔法障壁を切り裂くが、威力もだいぶ落ちてしまい、リッチへと攻撃が当たらないようにスケルトンメイジが盾となり、魔闘気の飛ぶ斬撃はリッチに命中せずに防がれてしまった。


 『……次、ぼくの番……くらえ、水竜。』


 水魔法を発動したサフィを中心に水が湧き出し水が細長い竜の形に変化すると、サフィはリッチたちへと突撃する。


 二度の連続した魔法障壁の展開をしたスケルトンメイジは、三度目の魔法障壁を展開する。だが、これも魔闘気を薄っすらとだが纏う水の竜による爪と牙により簡単に破壊され、水よ竜はスケルトンメイジの多くを爪と牙で引き裂いて噛み砕き、そして水の竜の尻尾がリッチに振るわれ、リッチは弾き飛ばされる。


 けれど、吹き飛ばされたリッチはふわっと空中に浮くと、反撃に闇魔法を発動し闇魔法で作り出された闇属性魔力の大量の頭蓋骨がユキ、シェーレ、サフィを集中して狙うが、アルたちの方にも少ないが向かって来る。


 「観戦していた俺たちの方にも攻撃するか。こっちは俺たちが対処するから気にするな!」


 アルはユキたちに聞こえるように言うと、迫る闇魔法の頭蓋骨たちを観戦していた面々で迎撃して行った。

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