第310話
それからもアルたちは上級ダンジョンの探索を続け、ユキ、シェーレ、サフィの三匹が余裕を持って一階層のモンスターを倒せるようになった頃、戦闘に参加せずにいたアルたちも戦い出す。
「クウのフォローは俺に任せてラティアとカナリは好きに戦ってくれ!」
『分かりましタ。マスター。』
『分かったメー!』
ラティアとカナリは二人揃って前に出て、こちらに迫る三匹のコボルトバーサーカーへと向かって行く。
「クウ、俺がコボルトバーサーカーと対峙するから、クウは隙を狙って攻撃だ。いいな。」
『うん!わかったよ!!いっしょにがんばろうね、パパ!』
ラティアとカナリの後を追うようにアルとクウも前へと出る。
因みにユキ、シェーレ、サフィの三匹はアルたちが戦っている間、モンスターの警戒をして貰っている。
三匹すべてに雷魔法で雷撃を放って牽制するカナリに、雷撃での麻痺で身体の動きが一瞬鈍ったコボルトバーサーカーに大量の魔力を込めた斬撃がラティアから繰り出され、更に投擲した後に手元に戻る取り寄せの短剣がコボルトバーサーカーの眼球に向かい投擲される。
そんな戦闘の最中にアルも合流し、手元に溜めた魔力から魔法をコボルトバーサーカーの一匹に発動した。
未だにカナリの放った雷撃の影響がある中でアルが発動したのは雷魔法だ。その発動した雷魔法はラティアが投擲した短剣で眼球にダメージを負ったコボルトバーサーカーに直撃すると、電撃で毛皮が黒焦げになり膝を付く。
「クウ!トドメだ!!」
『うん!くらえ!!!』
両膝を付いて身動きをしていないが、それでもまだ生きているコボルトバーサーカーに接近すると、クウは体当たりを行ない吹き飛ばす。
そして、クウとコボルトバーサーカーとの距離が出来ると、まだ動かないコボルトバーサーカーにブレス攻撃を行ないトドメを刺した。
ブレス攻撃を行ないコボルトバーサーカーを倒したクウを狙い、カナリの雷撃しか攻撃を受けていないコボルトバーサーカーが石の棍棒を振りかぶり襲い掛かって来る。
「させるか!!」
アルはクウとコボルトバーサーカーとの間に入ると、コボルトバーサーカーの両腕の上腕を魔闘気を纏わせた剣を振るい切り裂き両断すると、その切り裂いた腕に風魔法を発動して棍棒と一緒に吹き飛ばす。
それでもコボルトバーサーカーは両断された痛みでは止まらず、両断された両腕から血を流しながら牙を剥き出しにして噛み砕こうと距離を詰め寄って来る。
そんな中でクウは腕のないコボルトバーサーカーに接近すると、その足に尻尾を叩き付けるように振るって、コボルトバーサーカーは転倒する。
アルに意識が集中し過ぎたせいで、クウの接近に意識を割かなかったうつ伏せのコボルトバーサーカーに、アルは首を切り裂く為に剣を振るう。
「なっ!」
『うそ!』
だが、コボルトバーサーカーは、予想外なことに両腕を地面に叩き付けることで反動を得ると、そのまま身体を起こして立ち上がり大口を開けてアルに噛み付こうと飛び跳ねる。
『油断しちゃいけないメー!!』
飛び跳ねて勢いを付けたコボルトバーサーカーの噛み付きは、空中に跳んで浮いているコボルトバーサーカーをカナリが突進の勢いを乗せた頭突きを食らわし吹き飛ばしたことでアルに届かなかった。
『カナリおねえちゃん!パパ!!わたしがトドメをさしてくるね!』
カナリの頭突きを受けて地面を転がって行くコボルトバーサーカーに、クウは先ほどトドメを刺した時と同じようにブレス攻撃を行なってコボルトバーサーカーにトドメを刺した。
一方でコボルトバーサーカーと一対一で戦っていたラティアはと言うと、既に戦いを終えていた。
ラティアとコボルトバーサーカーとの戦いはあの後、ラティアが纏いを超えた魔力の放出による強化により、コボルトバーサーカーの身体能力を上回り、一方的にコボルトバーサーカーを切り裂き何もさせずに倒しているのだった。
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